法人税法メール配信01(会計士論文式・税理士)

今週から、会計士論文式と税理士法人税の受講生向けに、法人税法の理論問題(Q&A方式)のメール配信が始まりました。
第1回は、もちろん最重要条文である22条関連です。

小問1は、損金計上時期の判定基準(22条3項)を問うた、暗記条文問題です。
「売上原価は個別対応、営業費その他は債務確定基準、特別損失は発生の事実が生じた時期に、損金の額に算入すべき金額を認識する。」といった内容を、条文に沿った形で解答します。
会計士では、参考条文が配布されるので丸暗記は不要ですが、事例問題に対応できるよう、その内容は暗記しておく必要があります。税理士試験の受験生は、もちろん22条は丸暗記です。

小問2は、2006年の会計士の過去問で、2009年に税理士試験でそのまま出題されたことで一躍有名になった問題です。
「売上原価は個別対応方式で計上することとされているため、見積額であったとしても、損金の額に算入すべき金額に含める。」という、今となっては誰でも知っているロジックになります。
ここで、債務確定基準の話をすると「的外れ」ということになります。

小問3は、2007年の会計士の過去問で、無償譲渡から収益が発生するとしている22条2項の論拠です。
非常に有名な論点で、「適正所得算出説」、「有償取引同視説(二段階説)」、「実体的利益存在説」、「同一価値移転説」などがあります。
それぞれ簡単に解説してありますが、解答は、判例・通説となっている「適正所得算出説」を取っています。
ただし、個人的には、最もシンプルで、特に事例問題との相性のよい「二段階説」がお薦めです。

小問4は、具体的な金額を使った、無償譲渡の事例問題です。
無償譲渡を行った側については、小問3の「二段階説」をとっておけば、まさに、「水を得た魚」のように、あっという間に合格答案を作成することが出来ます。
その前段階の知識として、 「法人税法は徹底した時価課税」、「事例問題は、必ず総額で考える。」 という2点を覚えておいて下さい。
「徹底した時価課税」なので譲渡収益を500万円としたうえで、「必ず総額で考える」ので譲渡原価150万円を計上します。
そして、500万円の譲渡収益を計上したのに、実際には現金を手にしていないのは、500万円を寄附したと考えるのが「二段階説」です。
あとは、寄附した500万円の損金性について、「どの程度詳しく書くべきか」です。
会計士試験の場合、解答欄が極端に狭いので、模範解答にある内容を書いておけばOKです。
それに対し、税理士では、答案用紙のスペースよりも、時間配分を気にしながら「どの程度詳しく書くべきか」をその場で判断されるとよいでしょう。