財務メール配信15(税理士・会計士論文)

この回では、「税効果に係る会計基準」の一部改正への対策もかねて、税効果会計繰延税金資産の回収可能性や、会計基準の一部改正の対象となった表示について取り上げています。

繰延税金資産の回収可能性については、監査上の実務指針(現在廃止)の考え方を踏襲しつつ、新しい適用指針が公表されました。そこでは、収益力に基づく所得の十分性を判断するにあたり、企業を1~5に分類して、繰延税金資産の回収可能性を判断します。実務色が強すぎるので、受験上詳細に覚える必要はないと思いますが、「企業の収益力を過去の所得や将来の見込みによって5段階に分類して判断するらしい」くらいの認識はあっても良いと思います。

表示の変更は、流動・非流動の区分を廃止してすべて非流動項目とする変更ですから、むしろ論点が減りました。理由は、納税のタイミングが1年内にはない、というちょっとこじつけ感が否めないもので、むしろ実務上の煩雑さが主な気がします。

また、注記における「評価性引当額の内訳表示」も変更点です。税務上の繰越欠損金が生じるような企業業績では、課税所得の十分性の観点から、繰延税金資産の回収可能性も低いであろう、との考えが基礎にあり、評価性引当額関連の情報提供量を増やす改正がなされています。

以上です。