平成31年度第Ⅰ回 短答答練~財務会計論②~連結会計

今回のみ、連結の総合問題を2問出題しています。

問題21~25(連結会計)
論点は、子会社株式の追加取得、税効果、商品売買(アップストリーム)です。

問題21 のれん
問題21~25の中では、一番易しい問題です。ただ、いつもは土地に評価益が計上されますが、本問では評価損が計上されます。あとは、これに税効果を考慮して、タイムテーブルに計上することさえできれば、間違えようのない問題です。

問題22 親会社株主に帰属する当期純利益
連結の総合問題は、成果連結もタイムテーブルに反映させて、タイムテーブルだけで解いてしまう人もいますし、タイムテーブルは資本部分だけで簡単に作成しておいて、あとは全ての連結修正仕訳を下書きに並べて、それらを集計して解く人もいます。
専門学校の講義では、連結修正仕訳を利用しながら説明した方が分かりやすいので、後者のパターンで解説することが多く、受験生の多くが、連結修正仕訳を下書きに並べて解いていると思います。その方が、確実ですし、見直しもやり易いです。
本問の解説は、成果連結をタイムテーブルに反映させた上で、連結修正仕訳も示していますが、私自身、受験生の頃はスピードを求めて、タイムテーブル中心の解き方を実践していました。
本問の場合、未実現利益や貸倒引当金の調整が必要で、かつ、税効果会計を導入しているため、成果連結を反映させたタイムテーブルの作成自体に時間がかかってしまいますが、全問解くのであれば、こちらの方が短時間で解けるはずです。ただ、連結修正仕訳を集計する方が部分点を拾いやすいこともあるので、どちらで解くか決めつけず、柔軟に対応することができれば、それが最良です。

問題23 資本剰余金
追加取得を行ったため、資本剰余金が動きます。
追加取得に係る連結修正仕訳を行う場合にも、解説にあるようなタイムテーブルを作成しておくと、何度も連結修正仕訳の集計をせずに済み、時間が節約できます。

問題24 利益剰余金
最終年度の利益剰余金は、原則として「捨て問」ということになります。
本問の解説でも、「連結修正仕訳を集計して解く方法」と「成果連結もタイムテーブルに反映させて解く方法」の両方を示しておきましたが、やはり、後者の方が圧倒的に早く計算できます。

問題25 非支配株主持分
非支配株主持分は、問24の利益剰余金よりも計算要素が少ないので、問24を「捨て問」にして、この問25に時間をかけるのが得策です。

問題26~28(連結会計)
連結キャッシュフロー計算書の理解を問う良問です。

問題26 営業活動によるキャッシュ・フロー
本問は、営業活動によるキャッシュ・フローを計算するためのフォームが与えられていて、その穴を埋めることで正解に辿り着けるように作問してあります。今回のように調整項目が比較的多い問題の場合、このフォームが与えられていなければ、正解率が半分以下にまで落ち込むはずです。本試験では、計算フォームは与えられない可能性が高いので、調整項目の数によっては「捨て問」としても構いません。

問題27 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、本試験ではあまり問われないですが、出題された場合には、調整項目が少ないので、是が非でも得点したい問題になります。
有形固定資産の取得と売却については、解説にあるようなT勘定を作成して解くのが常套手段です。

問題28 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローも調整項目が少ないので、正解しておきたいです。
配当金の支払額は、利益剰余金のT勘定を作成して差引計算で求めることになります。

8問中4問の正解が目安になりますが、連結が得意な方は「問題24の連結利益剰余金」と「問題26の営業活動によるキャッシュ・フロー」以外の6問を目標にして下さい。