平成31年度第Ⅰ回 短答答練~財務会計論①~連結会計

財務会計論の答練は、本試験と同じく28問構成で、配点は問題1~22までが各8点、問題22~28までが各4点です。問題23~28が連結会計の総合問題で6問も問われますが、各問への配点は他の問題の半分しかなく、200点満点中24点ということなので、合否を決定づけるようなものではありませんが、受験生の重視するところでもありますから、本ブログでは、連結の総合問題に対する感想等を綴りたいと思います。

問題23~28(連結会計)
論点は、内国子会社と在外子会社が存在していることと、在外子会社が内国法人の株式を取得している点です。

問題23 非支配株主持分
まずは国内子会社の支配獲得日から1年後の非支配株主持分の金額です。有価証券の評価換算差額と土地の評価差額はありますが、税効果会計も導入されておらず、成果連結の連結修正仕訳のない問題です。X1年度末のタイムテーブルの合計金額に非支配株主の持分割合を乗じるだけです。

問題24 のれん
のれんの金額も問23と同様、税効果会計も導入されておらず、成果連結の連結修正仕訳のないため、簡単です。
タイムテーブルのX0年度末のタイムテーブルの合計金額にS社への持分割合を乗じた金額とS社株式の取得原価の差額として、のれんを求め、1年分の償却を行った残高が解答となります。

問題25 利益剰余金(X1年度末)
利益剰余金は「捨て問」にする方針ですが、本問では、問題25でX1年度末の金額を、問題28でX4年度末の金額が問われています。こういった場合は、問題28を「捨て問」にして、問題25は取りにいく方針が正解ということになりそうです。
x1年度末の段階だと、P社の利益剰余金に、支配獲得後のS社の増加利益剰余金に持分割合を乗じたものを加え、のれん償却額を1年分控除するだけです。ここまでは、失点が許されない問題です。

問題26 為替換算調整勘定
在外子会社への支配獲得日から1年後の為替換算調整勘定です。為替換算調整勘定の計算は、在外子会社が存在する場合の典型論点ですから、これも合わせたい問題です。為替換算調整勘定は2種類あるので、それぞれを計算して合算します。
まず、「資産・負債のドルベースの時価を円換算した金額」と、「純資産をHR換算(利益剰余金の増加額はAR換算)した金額」との差額を計算します。この金額のP社持分80%が連結B/Sに計上されます。
次に、「のれん発生時のHR換算額から償却額(AR換算)を控除した金額」と、「ドルベースで計算した期末ののれんをCR換算した金額」との差額を計算し、先の金額と合計します。

問題27 資本剰余金
子会社株式を追加取得した場合に、資本剰余金が変動するのはご存じの通りです。追加取得時の仕訳項目を下書きに書いて、それを埋めていくような形で解くとスムーズです。

問題28 利益剰余金(X4年度末)
在外子会社が国内子会社の株式を取得していますので、難易度が高く、後回しにすべき問題です。
P社が直接的に追加取得を行った訳ではありませんが、在外子会社が取得した20%のうち、16%は親会社持分と考えることが出来るので、P社のS社持分は60%から76%に増加したことになります。従って、当期のS社利益剰余金増加額の76%が連結上の利益剰余金を構成することになります。
この論点よりは、本試験対策として、在外子会社のタイムテーブルの方が重要になるので、そちらを中心に復習して下さい。

連結の総合問題は、24点の配点のうち、なんとか12点を死守するイメージでよいと思いますが、本問の場合、問題23~25が必須、問題26も比較的得点しやすいので、12点~16点が合格点となります。