平成31年度第Ⅰ回 短答答練~財務会計論⑤~連結会計

第1回と同じく、在外子会社のケースですが、その在外子会社の株式売却に加え、子会社の吸収合併について出題しました。

問題23~28(連結会計)
論点は、在外子会社株式の一部売却、子会社の吸収合併、未実現利益の消去(ダウンストリーム)です。

問題23 のれん
当期末B/S「のれん」残高を計算します。
支配獲得時のドル建ての「のれん」を把握し、これをドル建てで償却すると400千ドルになります。
そして、この400千ドルを当期末のCRで換算します。

問題24 のれん償却額
当期P/L「のれん償却額」を計算します。
問題23で把握した支配獲得時のドル建ての「のれん」をドル建てで償却すると、年間償却額50千ドルになります。
そして、この50千ドルを当期の期中平均レートで換算します。
短答式試験では、連結財務諸表自体を作成させられることはなく、ある勘定科目の金額をピンポイントで問うてきます。
普段から、そのことを意識して、各勘定科目の金額を正解するための道筋を考えるトレーニングをしている人にとっては、問題23、24はサービス問題です。

問題25 非支配株主持分
在外子会社であるS社の純資産額の円換算額を計算するにあたり、資本金(HR)+資本剰余金(HR)+・・・・としていると時間がかかります。
すぐに気づいたと思いますが、資産と負債の差額(ドル建て)をCR換算する方が圧倒的に早いです。
これに40%を乗じるだけです。
ダウンストリームなので、未実現利益の消去による影響も受けないですし、得点しておきたい問題です。

問題26 為替換算調整勘定の当期増加額
為替換算調整勘定は、① 資産・負債と純資産とで適用される円換算レートが異なることで生じる金額と、② のれんについて、年々の償却額を控除して計算した金額と期末B/SのれんのCR換算額との差額として計算する金額の合計額となります。
①も②も定型的な計算なので、解説の図解を頭の中にイメージできるくらい、しっかりと学習しておく必要があります。
なお、為替換算調整勘定は、連結B/Sと連結包括利益計算書の金額は一致しないことも、解説の(参照)で確認しておいて下さい。

問題27 資本剰余金
子会社株式の追加取得や一部売却を行っている問題で、資本剰余金の金額が問われるのは、よくあるパターンです。
本問では、S社株式の売却とX社の吸収合併を行っており、その両方で資本剰余金が変動しますが、S社株式の売却による変動は出来なければいけない論点のはずです。
ただ、今回は、在外子会社のため、消去すべき売却損益やS社株式の簿価をどの円換算レートを使用するかといった論点も含まれるため、通常の計算よりも難易度が高くなっています。
子会社の吸収合併については、被合併会社の資産負債の80%を被合併会社の株式を償却して取得し、残りの20%を合併会社の株式を発行して取得したと考えます。この2つの取引は別々に仕訳を行います。
一つ目の仕訳では資産負債の80%、土地は支配獲得時に時価で80%を取得、のれんは連結上の期末簿価を全額資産計上し、差額は「抱合せ株式消滅差益」とします。
二つ目の仕訳では、資産負債の20%、土地は支配獲得時に時価で20%を取得、P社株式交付数に応じて資本金計上、差額は「資本剰余金」とします。

問題28 親会社に帰属する当期純利益
P社の当期純利益に加減算する項目としては、S社の当期純利益×80%、のれん償却額、受取配当×80%、未実現利益×20%、子会社株式売却損益です。
短答式の場合には、時間的にここまでは合わせられないと思います。

最終回は、難しい問題でした。
問題23、24を確実に正解し、問題25まで合わせれば、合格水準です。

あと数日で、本試験です。新しい問題にチャレンジする時期ではないので、連結の総合問題については、やり尽くしているであろう計算問題集vol.2の総合問題21問と、答練の6問を、正解にたどり着くための道筋が見えてくるまで、繰り返し見直すようにして下さい。