財務会計 メール配信 08(会計士論文・税理士)

第8回は、純資産の部税効果会計です。

概念フレームワークによれば、純資産は資産と負債の差額と定義づけられています。そこで、純資産の部に計上される項目は、なぜ資産・負債ではないのかの説明が求められます。また、純利益を重視する我が国では、純資産の中でも純利益に対応する株主資本となるか否かも重要となってきます。

自己株式は純資産の中でも論点の多い科目です。その会計的性格を「資産」ととらえるか「資本の控除」ととらえるかで表示区分だけでなく、取得・処分・消却の各場面の取り扱いも異なってきます。統一的に説明できるように準備してください。


税効果会計の方法には、「資産負債法」と「繰延法」があり、我が国の会計基準では「資産負債法」が採用されています。会計基準内にも「純利益と法人税等の期間的対応を図る」との趣旨が示されており、繰延法が理解しやすいこともあって混乱しがちですが、あくまでも「資産負債法」です。

この立場によってはじめて、純資産直入される時価評価差額に税効果会計を適用する理由や税率の変更があった際の取り扱いが意味を持ってきます。混同しないように自身の中で整理しておきましょう。

以上です。