例えば、税理士実務で税法の条文や通達の知識が必須なように、会計士実務において、企業法の知識は必須です。プロフェッショナルな士業は、法的な根拠に基づいた重みのある発言を求められるため、特にしっかりと学習しておきたい科目です。

Ⅰ. 学習方法

  1:条文を理解と反復練習が重要

企業法は、最終的には暗記科目です。ただ、理解を伴わない暗記はもろく、短時間で忘れてしまうばかりでなく、応用問題に対応できません。 理解した上で、理解をより深く確実なものとするために、数多くの問題にあたる必要もあります。 FINでは、「条文理解」を重視した上で、テキスト内で学習が完結するように、講義内で、練習問題も多数取り扱います。

  2:一方で、割り切った丸暗記も必要

条文理解をスタート、短答式問題をゴールとする短距離走を繰り返すことで、全条文をこなすことが出来れば、常に満点が狙えるはずです。しかし、企業法の条文は膨大です。会社法979条、商法851条、金商法226条。とても、真正面から戦える相手ではありません。「全条文の理解と練習問題の反復」という方針を徹底すると、企業法だけで、2~3年かかってしまいます。こういった場合、受験生の立場からすれば、「ここは覚えておいて!」というかたちで、暗記すべき事項を明確にしてもらえると、助かるはずです。FINでは、重要条文も含め、丸暗記すべき事項を、「ここを覚える!」というかたちで、コンパクトに列挙しています。よく出題される重要条文については、しっかりとした「理解」を心掛ける一方で、短期合格のために、論点によっては、割り切って「丸暗記」することも必要です。「理解」と「丸暗記」、メリハリのついた学習で、短期合格を目指しましょう。

Ⅱ. 教材の紹介

企業法は、条文理解が合否の鍵を握っていますが、独学では太刀打ちできません。
読みづらい条文もありますし、各条文が複雑に関連し合い、条文番号通りに読み進めても、なかなか得点に結びつくような知識が身につきません。かといって、専門学校が用意した図表を暗記しても、少し違う角度から問われただけで、対応できないことがあります。
おそらく、短期間で企業法をマスターする方法はありません。ゆえに、「元雄もベテラン勢が有利な科目」といわれています。
よく整理されたフローチャートや図解で、しっかりとした解説を受けて、それを条文にあてはめて、最後に、問題を利用して確認する、という一連の作業を根気よく続けて下さい。このプロセスを一度、ていねいに行って、あとは、日々、企業法に触れて、一定の実力を維持しておけば大丈夫です。

  1:企業法Ⅰ・Ⅱ  (講義時間: 34時間) 

本試験での出題順序に合わせて、企業法Ⅰでは、商法総則・商行為、設立、株式について学習します。
企業法は、一つのテーマに複数の条文が絡み合っています。文字で理解することも重要ですが、スムーズに頭の中に入ってくるように、図や挿絵を多用しています。そして、理解した直後に、実際に短答式問題で確認する、という作業を繰り返していきます。例えば、第2章の設立は、手続き的な論点が多く、文章だけのテキストだと、各論点は理解できても、それら知識が繋がらず、全体像が見えてきません。このような場合には、よく整理されたフローチャートが有効です。設立の場面だと、発起設立は青、募集設立は赤で色分けし、発起設立と募集設立とで、何が共通の手続きで、何が異なる手続きか、一目瞭然となるようにしています。複雑に絡み合う条文をシンプルな情報に変換して、スッキリとした形で、自分の中に取り込む、そんなイメージで学習していただきたい、と考えてきます。

企業法Ⅱでは、機関(指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社以外)を学習します。機関設計で全体像を把握し、業務執行の効率化と監督のバランスというような立法趣旨にも留意しつつ学習を進めて下さい。株主総会は創立総会との、株主総会以外の機関は相互の関連性や類似点を意識されると、効率よく覚えていけるのではないでしょうか。
例年、6問は出題される重要分野ですから、優先順位を高めて取り組むようにして下さい。

  2:企業法Ⅲ  (解説時間: 19.5時間) 

企業法Ⅲでは、機関(指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社)、資金調達、持分会社、組織再編成行為、金融商品取引法などについて学習します。 「設立から機関まではマスターできているが、資金調達以降の分野までは手が回っていない」受験生が多いため、企業法Ⅲの学習分野どれだけ得点できるかが、合否を分けます。企業法Ⅰ・Ⅱと同様、条文理解をスタート、短答式問題をゴールとする短距離走を繰り返すイメージですが、暗記事項が多く、受験生にとっては、精神的な負担の大きい分野になります。 積極的に学習するのが辛い分野ですが、FINでは、講義の動画データをMicroSDカードに収録してお届けしているので、講義を繰り返し受講することで、知識が自然と浸透してくるはずです。