この章では、固定資産に収益性の低下が認められた場合に、その帳簿価額を引き下げることで資産の価値を反映した残高とする減損処理について紹介しています。収益性の低下というのは、投資額を回収できる見込がなくなった状態を意味し、固定資産の場合は、例えば生産・販売といった事業活動を通じて工場や機械設備への投資を回収しようとしていたが景気の悪化で難しくなった、というような状況です。これは、固定資産に限らず有価証券や棚卸資産にも起こりうる状況であり、それぞれに減損処理があります。

減損処理の中心は、①減損の認識の判定、②減損損失の測定、③減損損失の配分、(テーマ1.全体像3.減損会計のプロセス、Step3.4.5.)です。まずは、割引前将来キャッシュ・フローは所与として、①~③の手続きをマスターしてしまいましょう。割引前将来キャッシュ・フローの算出は、工業簿記・原価計算の「設備投資の意思決定」で下書きするようなタイムテーブルを用意するとミス無く求めることができ、おすすめです。

テーマ2 共用資産やのれんのある場合の処理は、共通点が多いので、まず、共用資産のある場合でマスターして、のれんはここが違う、というようにすると効率的です。