この章は、有形固定資産に関する理論的補強を主な趣旨としています。テーマ1 取得原価で紹介している交換取引による取得の論点は、投資の継続・非継続事業投資・金融投資の論点として他の分野でも登場する考え方で説明されています。論文式試験では、このように根底にある考え方が共通の論点が横断的に出題されたり、根底になる考え方が問題を通じての裏テーマになっていることがあります。記述例を覚えるより、この考え方を理解して応用できるように準備してください。

テーマ2 費用配分からは、2020年に減価償却の自己金融機能、減価償却と取替法の異同、減耗償却が出題されました。新しい会計基準の論点ではないので軽視されがちですが、やはり、基本的なところは押さえておく必要があるようです。級数法・総合償却・200%定率法については、念のため計算方法を確認しています。

テーマ3 圧縮記帳は、課税の繰延という政策的観点から採用される会計処理なので、どちらかというと税効果会計の論点として考えた方が良いかもしれません。仕訳一覧の積立金方式の最初の決算は、スペースの都合上、圧縮積立金を積立るだけにしています。厳密には翌決算時の仕訳のように減価償却の分だけの取り崩しがあります。

テーマ4 賃貸等不動産は、注記事項としての細かな規定は短答式試験向き内容なので、時価評価の是非の論点を事業投資の性格の観点から理解してください。