退職給付会計は、個別財務諸表と連結財務諸表とで処理が異なる部分がやはり厄介です。計算対策としては、第5問が連結会計からの出題となりますが、論文式試験でも退職給付会計に係る複雑な連結修正の問題は問われにくいようで、第3問の個別論点としての対策をしっかり行えば良さそうです。退職給付会計では、年金資産と退職給付債務が表示上相殺されますが、両者の期中の変動を区別して処理すること、数理計算上の差異と過去勤務費用の未認識部分が連結財務諸表上、どの財務表のどこにどのように表示されるか、を意識して学習してください。

理論対策としては、処理が複雑な分だけ論点も多く難しい印象です。まずは、とりつきやすい会計処理の説明からクリアにしていきましょう。その後、会計処理の論拠等に進まれると良いと思います。

最後に、テーマ3 個別財務諸表と連結財務諸表の取り扱いでは、会計基準で紹介されているワークシートを用いた解法を紹介しています。本試験で1度、ワークシートが出題されたこともあるのですが、個人的にはT勘定で(借方)年金資産と(貸方)退職給付債務のそれぞれの増減を明らかにした方が直感的で分かりやすいと感じているので、ワークシートはおすすめしていません。下書きのT勘定から(個別上も連結上も)解答上必要な数値が拾えるように練習してみてください。