減損会計は、計算も理論も頻出の論点です。

減損処理とは、固定資産に収益性の低下が認められた場合に、その帳簿価額を引き下げることで資産の価値を反映した残高とするものです。収益性の低下というのは、投資額を回収できる見込がなくなった状態を意味し、固定資産の場合は、例えば生産・販売といった事業活動を通じて工場や機械設備への投資を回収しようとしていたが景気の悪化で難しくなった、というような状況です。これは、固定資産に限らず有価証券や棚卸資産にも起こりうる状況であり、それぞれに減損処理があります。

減損会計は、テーマ0 総論で紹介している処理の背景がしっかりしているので、ここをしっかり理解しておきましょう。収益性の低下を原因とする他の資産の会計処理も、これを機に丁寧に異同を確認してください。

テーマ1とテーマ2の減損処理自体は、計算に直結している理論が多いので計算対策と並行して理論対策を進めてください。減損処理(計算)の中心は、①減損の認識の判定、②減損損失の測定、③減損損失の配分、(テーマ1.全体像3.減損会計のプロセス、Step3.4.5.)です。割引前将来キャッシュ・フローの算出については、総合計算問題で減損処理が出題される際は大抵、各金額が所与とされていますし、個別計算問題(問われるならこちらでかと思います。)での出題実績もここ数年ないので、割引前将来キャッシュ・フローを算出する細かなルールは一旦スルーでも良いかも知れません。余裕があれば念のため確認してください。

(記述例でも紹介している)投資額の回収可能性の評価時点の理論は、適切な表現(ex.投資額でなく当初の投資額)を用いないと意味が伝わりづらいので、採点者に誤解を与えない答案作成となるよう準備してください。

共用資産やのれんのある場合の処理は、共通点が多いので、まず、共用資産のある場合でマスターして、のれんはここが違う、というようにすると効率的です。