財務会計メール配信06(会計士論文、税理士)

第6回は固定資産の各論からです。

まずは減損会計です。

収益性の低下を反映した広義の減損処理は、金融投資対象資産である有価証券にも、事業投資対象資産の棚卸資産・固定資産にも認められています。それぞれの特徴や相違に着目して、論点を整理できると良いと思います。

まず、収益性の低下があるかどうかの判定はどのようにして行うのか、という観点から、有価証券は時価が基準になるのに対して、固定資産は将来キャッシュ・フローが基準となります。この違いは「投資の目的」の違いから生じており、この「投資の目的」が他の論点でも重要な要素となってきます。

「投資の目的」は、何をもって「投資のリスクからの解放」と考えるかにも通じるため、出題意図に合わせて、答案をアレンジできるように準備したいところです。

また、減損処理は損失の見越計上という側面があるため、見積り計算であるという特徴を有しています。ここから、実績との乖離や戻入の是非といった論点も生まれてきます。こうした点から横断的に各論点を考えてみて下さい。


次はリース取引です。

取引の経済的実態に即した会計処理という観点から、ファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引の選択を考えていくというのは典型的論点としてしっかり押さえておきましょう。経済的実態として、ファイナンス・リース取引が具体的にどのような売買取引と同様なのかも想定して説明できると良いでしょう。

また、リース取引の会計基準はこれまでの変遷と、これからの国際的な会計基準とのコンバージェンスの観点から「使用権モデル」との関連性も意識してみて下さい。

以上です。