平成31年度第Ⅰ回 短答答練~管理会計論③

2018年12月目標 短答答練 第3回の管理会計論の感想です。
本試験と同じく16問構成で、原価計算基準2問、原価計算基準以外の理論4問、計算10問という構成です。計算が多いですが、こういった場合は、計算量の少ない問題を選んで解答するという単純な戦略でいけばいいので、「かえって楽だ。」と考えるようにして下さい。

問題2 部門別計算 ~ 連立方程式法
連立方程式法は、出だしが肝心です。「何をX,Y,Zとおくか」をすぐに思い出せるように準備しておきましょう。
「他の補助部門からの補助部門費配賦後の修繕部門費をX、動力費をY、工場事務部門費をZとする。」ここさえ思い出せれば、後は波に乗っていけるはずです。

問題3 個別原価計算
本試験の個別原価計算は、問題によって難易度に大きな差がありますが、本問は簡単な部類です。
過去に何度か出題されている計算パターンなので、得点できなかった方は、必ず克服しておいて下さい。

問題5 工程別総合原価計算
ポイントは2つです。
一つは、解説にあるように、直接労務費の21/19が加工費となることを推定する点です。
もう一つは、「当期の仕損発生点通過量」の5%を正常仕損とするところ、本問では指示により、「当月投入量」の5%が正常仕損となるので、その指示に忠実に従う点です。

問題6 連産品(追加加工工程で副産物発生・追加材料投入)
連産品を捨て問にしている受験生も多いはずです。本問は連産品の問題の中でも、難しい部類なので、捨て問にするのが正解です。
まず、結合原価を把握する必要がありますが、連産品分離工程に異常仕損があり、正常仕損費は非度外視法を適用するため、ある程度時間を要します。
さらに、追加加工工程で、副産物が発生するとともに、追加材料も投入されるため、正常市価基準を適用するにあたって、何を配分基準とするか迷うところです。
このような論点が加わったとしても、正常市価基準では常に、「分離した時点で、いくらで販売可能か」を基準に結合原価を配分します。
捨て問にした方も、このことは、解説の図などを利用して確認しておいて下さい。

問題7 標準原価差異分析(能率差異と歩留差異)
第2回 問題8の類題になります。
得点してほしい問題です。

問題8 財務情報分析(総資本当期純利益率、当座比率、固定長期適合率など)
本問のようなパズル的な問題は、得意、不得意がハッキリと分かれるはずです。通常、CVP分析の得意、不得意とリンクします。
本試験まで時間が無いので、CVP分析が苦手な方は、パズル的な問題から逃げる方が賢明です。

問題9 予算実績差異分析(変動予算)
予算と実績との間に、「変動予算」とか「弾力性予算」と呼ばれる金額をかませて分析を行う計算パターンです。
本試験での出題実績はありますが、出題可能性は低いです。
ただ、難しくはないので、余裕があれば、「変動予算」が実際販売量を前提とした予算であることと、「価格・能率・予算差異」の内容を覚えておきまよう。
貢献利益差異のうち、販売量差異以外を「価格・能率・予算差異」とするのが通常ですが、本問の場合、「販売部門における価格・能率・予算差異」という指示なので、VSC差異は含めないことになります。

問題10 CVP分析など(理論)
スキャッター・チャート法、財務レバレッジ、安全余裕率と損益分岐点比率の関係など、典型的な論点が問われています。

問題11 原価管理(理論)
原価企画、1st LookVE~、コストテーブル、テアダウンについての知識を問う問題でした。
これも典型論点なので、高い確率で正解しなければいけない問題です。

問題12 FCF、EVA(理論)
FCFやEVA概念については、頻繁に問われる論点ではありませんが、合格水準に達している受験生は、合わせてきます。
そういう意味では、ここまでは手を広げておくべき論点といえるでしょう。

問題13 企業価値、財務諸表分析、資金管理など(理論)
企業価値やフリーキャッシュフロー、売上債権回転期間、棚卸資産回転期間といった、問題文に出てくる用語の計算公式を下書きに書きながら解く問題です。
一つの問題の中で、あまり関連のない複数の用語について問われており、やや解きにくい問題です。
最後の流動比率の問題も、解答を見れば、すぐに納得できますが、初見で解いている段階では思いつきにくかったと思います。

問題14 業務的意思決定(無関連原価と関連原価)
業務的意思決定は、多くの受験生が苦手にする分野ですが、段階的に問いが作られているので、捨てずに頑張れたのではないでしょうか。
無関連原価というと、「既存の固定費」というようなイメージですが、本問の場合、「製品Yを追加生産してもしなくても発生額の変化しない原価」ということになるので、製品Xの直接材料費も含んだ総原価ということになります。
もちろん、その中には、製品Xと製品Yの共通固定費も含まれることになります。

問題15 設備投資(正味現在価値法と内部利益率法)
解説の最初の3行がこの問題の全てを語っています。
シンプルですが、よく練られた問題で、努力よりも、頭の良し悪しが結果に反映される問題です。
会計士の本試験が、こういった問題ばかりだと絶望的な気持ちになってしまいますが、会計士の試験は努力型の試験です。
私が受験生なら、アとイは手をつけずに、ウ○、エ×だけ判定し、選択肢を3と5の2つに絞って、あとは運を天に任せたと思います。

問題16 事業部制(ROIと残余利益による業績評価)
ROIと残余利益による業績評価は、難易度の比較的低い論点なので、手を出したくなる問題です。
解き始めて、計算量がかなり多いことに気づいて、撤退した方も多いと思います。
結果的に撤退する方が賢明な問題です。
「手をつけたのに撤退する」のは勇気がいりますが、深みにはまって取り返しがつかない状況になるのが最悪なので、いかに「勇気ある撤退までの時間を縮められるか」も勝敗を分けるポイントになります。
「手をつけてから勇気ある撤退までの時間の短縮化」は、受験生にとっての永遠のテーマです。

問題6、9、15、16の4問の難易度は高いですが、逆に、この4問を避けて、他の問題で着実に得点できれば70点の壁をクリアできます。
問題15、16を落とすと、惨敗感をもってしまいがちですが、そういったことを気にしない、ちょっと「ず太い神経」の人の方が合格しやすいです。