平成31年度第Ⅰ回 短答答練~管理会計論④

2018年12月目標 短答答練 第4回の管理会計論の感想です。
本試験と同じく16問構成で、原価計算基準2問、原価計算基準以外の理論5問、計算9問という構成です。本試験では、原価計算基準からの出題があと1問か2問ありますが、答練で原価計算基準から出題するのは、ちょっともったいないので、ついつい原価計算基準以外から出題してしまいます。

問題2 部門別計算 ~ 連立方程式法
第3回と同じく、連立方程式法です。やはり、「何をX,Y,Zとおくか」が問題を解く鍵になるので、これをすぐに思い出せるようにしておきましょう。

問題4 個別原価計算 ~ 原価計算票からの勘定記入
一橋大学の大御所の先生が作問したものに手を入れました。この問題パターンは、初見だと難しいですが、いつかは出題されるはずなので、たまに答練で出すようにしています。着工、完成、入庫、引渡の日付けを見て、期首と期末の時点で、各原価計算票の金額が、仕掛品勘定と製品勘定のどこに記載されるべきかを考えて解いて下さい。

問題5 単純総合原価計算 ~ 度外視法
指示に従うと、副産物のコストは、完成品・正常仕損品・異常仕損品・期末仕掛品の4者負担です。これに対し、正常仕損費は、異常仕損品には負担させないことになっているので、完成品と期末仕掛品の2者負担になります。大きく分けて、この2段階の計算が必要になるので、解説にあるように、原価配分のためのボックス図も2つ描く必要があります。この手の問題は、FINの受講生が一番強いと思って頂いて大丈夫です。

問題6 等級別総合原価計算 ~ 組別総合原価計算に近い方法
等級別総合原価計算といえば、大きく3つの計算方法があるので、まず、どの計算方法で解けば良いかを特定する必要があります。短答式の過去問のほとんどは、本問と同じく、「組別総合原価計算に近い方法」が出題されています。本問は、資料4の5)から「組別総合原価計算に近い方法」であることが明らかです。もし、本試験の指示が上手く読めなかったり、そもそも指示がなかった場合には、「組別総合原価計算に近い方法」でまず解いてみて、もし選択肢に答えがなければ、「単純総合原価計算に近い方法」で解くようにして下さい。複数の計算方法がある場合に、「どの計算方法で解けば良いか、敢えて指示を出さずに、一つの方法の解答のみが与えられている」といった出題パターンも過去にありました。どの計算方法で解き始めるかによって、正解に辿り着ける時間が異なるので、公平な出題方法とはいえませんが、受験生としては、そのような出題パターンにも耐えれるように心の準備だけはしておく必要があります。

問題7 連産品の計算 ~ 売上総利益率を一致させる方法など
第3回では、「正常市価基準」だけでしたが、今回は「正常市価基準」だけでなく、「売上総利益率を一致させる方法」も問われました。後者の方法は、全体の売上総利益率を計算して、その売上総利益率を各連産品に適用して、連結原価配分額を逆算するわけですが、この計算順序を頭の中に入れておけないと、解けません。
ただ、本問の場合、正常市価基準だけで、アとイの×が確定します。売上総利益率を一致させる方法から解き始めると、ウが○、イが×なので、さらに、アの正常市価基準かエの追加加工の可否の意思決定のどちらかを解く必要があります。最後の意思決定問題は計算量はごく僅かなので、熟れた方は短時間で解けるはずです。全問解こうとすると時間がかかりますが、正常市価基準から解き始めると短時間で正解できる問題構造でした。

問題8 活動基準原価計算 (理論)
イの選択肢は、過去問です。解答速報を作成する際に迷ったのを覚えています。最初の3行は合っている文章ですが、最後の一文が誤りです。ABMは各製品系列の収益性を正しく理解した上で、例えば購買活動費が割高に発生している製品系列の部品の共通化を進め、特殊部品の使用を極力減らすといった原価削減を目指すのであって、購買活動費が割高に発生している製品系列の生産を抑制することを目指しているわけではない、と考えます。難しいですね。

問題9 原価企画・原価改善 (理論)
イとエが○なのが明らかなので、簡単でした。ただ、原価企画とか原価改善の導入企業は、独自に手を加えていくので、現実には様々なバリーションが存在します。従って、この手の問題は、作問者の思い込みによっては、解きづらい問題になることも少なくありません。そのような問題に時間を費やすのは不効率なので、「50%くらいの確率であってればいいや。」といった感覚でやり過ごすと良いです。

問題10 標準原価計算 (理論)
イとウが○なのが明らかなので、簡単な問題です。ただ、エの選択肢のように、例外的事項をどの程度まで考慮するかによって、○か×かが分かれてしまうような問題は、迷ってしまいます。そんなことで迷うのは不効率なので、可能な限り、その他の選択肢で判断するようにして下さい。

問題11 CVP分析 ~ 段階的に原価線が変化するケース
CVP分析で段階的に原価線が変化するケースは、算数の苦手な方は、時間がかかり焦りもたまるので、回避です。それ以外の方は、ちゃっちゃと解いてしまいましょう。

問題12 業務的意思決定 ~ セールスミックスの決定
「生産能力増強のために、幾らまで支払うか」という典型論点です。生産能力増強後と増強前の「最適セールスミックス下での貢献利益」の差を求める、といった道筋がすぐに思い出せるかです。

問題13 予算管理 (理論)
予算の機能には、計画機能、調整機能、統制機能がある、という論点は、論文式でも書かされたことのある有名な論点です。その他、予算管理が資源配分の手段であるとか、組織メンバーへの動機づけの手段であるといった論点もよく知られています。ただ、ここまで手が回っていない受験生も多いので、正解できなかったからといって悲観するような問題ではありません。

問題14 事業部制組織 (理論)
社内カンパニー制、アメーバ経営、マネジメントコントロールなどについて問われています。
アは例外もあるので保留、イは明らかに○、ウは「したがって・・・」以下が×、エは誤ってはいなさそうなので○、ということで5を選択することになります。「確信を持って正誤判定が出来るのは2つ、なんとなく判定できるのが2つ」という問題だと難易度としてはやさしい方になります。

問題15 財務情報分析 ~ 安全性分析
インタレスト・カバレッジ・レシオが計算できなくても、正解に辿り着ける問題です。ちなみに、インタレスト・カバレッジ・レシオは、直訳すると、支払利息(インタレスト)がカバーされている割合(レシオ)ということでした。あとは、「何でカバーされているか」を思い出せるようにしておいて下さい。

問題16 設備投資の経済計算 ~ 正味現在価値法
本問のポイントは、解説にもあるように、直接作業時間あたりの生産量が25%増加するということは、「単位あたり変動加工費が20%削減する」と判断できたかです。このパターンは、日商1級でも出題されたことがありますが、短答式という限られた時間内だと正解は難しかったかも知れないです。

全体として、平均的な本試験レベルよりもやや難しいくらいです。65%の得点で合格レベルです。