論文答練(CPA) ~ 管理会計論

論文答練(CPA)についての所感を書き留めておきます。
管理会計論(CPA)

会計の海のブログで、最近3年間の出題論点を紹介しました。3年分だと30分問題12問ということになりますが、論文答練は5回あるので、20問出題することができます。どの論点を何題出題するか、以下のことを意識して作成しました。
◎ 標準原価計算は毎年出題されるので、各回に必ず一問は出題すること
◎ このところ、資金管理がよく出題されているので、資金管理も多めに出題すること
◎ 活動基準原価計算もよく出題されているが、2016年、2018年の出題なので、2019年はやや出題可能性が低く、答練での出題も1問に抑えておくこと
◎ 長い目で見れば、設備投資、事業部制が頻出論点となるので、これらを重点的に出題すること

では、分野別に見ていきましょう。

1. 標準原価計算
第1回で出題した問題は、過去問ですが、標準原価計算の問題としては最難問です。気を引き締めてもらうために、1回目で出題しました。この問題は、自力で解けなくても、解説を見ながら理解できれば、それでOKです。
ベテランの受験生に、管理会計論で嫌いな論点が何かを尋ねると、おそらく1位は「資金管理」、2位は「標準原価計算」と答えるでしょう。「資金管理」は資料の多さが悩みの種ですが、標準原価計算は資料が少なくても、「解くための方針」が立たなければ、解き始めるきっかけがつかめません。何から手を付けてよいのか分からないと、試験中に頭が真っ白になり、他の問題にも悪影響を及ぼしてしまいます。
講義中にも指摘しているように、標準原価計算の計算問題には、3つのパターンがあります。それぞれのパターンにあった解法を適用していれば、短答式程度の問題であれば 100%正解できますが、論文式では、作問者が色々と工夫をして、易々とは解けないようにしてあります。ただ、3パターンのうち、どのパターンに該当するのかが判断できれば、かなり落ち着けるはずです。「解くための方針」が確定できるからです。論文式試験は、短答式の問題と比較して色々と枝葉的ば論点が散りばめられていますが、「解くための方針」を確定させてしまえば、残り時間と相談しつつ、正解できそうな問題をチョイスして解き進めていくことができます。
今回の答練では、標準原価計算から6問出題しています。
理論は既に出題され尽くされている感があり、似たような問題が多いです。テキストでは標準原価計算の過去問を数多く紹介しているので、理論はテキストをじっくりと読み込むようにして下さい。

2. 資金管理
過去7年間で5回も出題されています。バリエーションはそれほど多くないため、練習を積めば対応できるようになります。今回の答練では、3問出題しているので、資料の多さが苦痛ではなくなるまで、繰り返し、繰り返し解いて下さい。
管理会計論は、色々な問題に手を出すよりは、良問を繰り返す方が効果的です。
過去問では、キャッシュ・サイクルが繰り返し問われています。キャッシュ・サイクルの計算に必要な棚卸回転期間、売上債権回転期間、買掛債務回転期間などは、噛み砕いて分かりやすい定義を紹介しています。これらを頭の中に入れておけば、計算も理論も解きやすくなります。
他の受験生が苦手にする分野なので、得意分野にして大きなアドバンテージを手に入れて下さい。

3. 事業部制組織の管理
事業部制は過去7年間で4回も出題されていますが、2018年は出題されていないため、要注意です。
事業部制では、業績評価か内部振替価格のいずれかをテーマにした問題が出題されます。直近の出題は2017年の内部振替価格の決定問題なので、業績評価をテーマにした問題の方が出題可能性は高いですが、点数に差が付くのは内部振替価格の問題なので、どちらかに偏ることなく復習しておきたいところです。
今回の答練では2問出題していますが、事業部制に関しては講義内容が良いので、テキスト中心に復習して下さい。理論も含めて、他の受験生に負けることはないはずです。

4. 設備投資
過去7年間で3回出題されています。設備投資も2018年に出題されていないので、要注意です。
設備投資については、30年以上の過去問を研究してテキストを作成しているので、知らない理論や計算パターンが出題される可能性は低いです。ただ、難しい論点であることは間違いないので、一つ一つの計算要素を慎重に積み上げていく必要があります。All or Nothingな論点なので、集中力を欠いてしまうと、総崩れしてしまいます。
今回の答練では1問しか出題できなかったですが、テキストや総合問題集を利用して、確りと復習しておく必要があります。

5. その他の論点
最近出題されていない論点としては、単純総合原価計算や工程別総合原価計算、予算管理、業務的意思決定などをあげることができます。
工程別を第5回で、予算管理を第1回と第3回で、業務的意思決定を第3回で出題しておきました。

以上です。