論文答練(CPA)~ 租税法 ~ 法人税の計算

論文答練(CPA)についての所感を書き留めておきます。
租税法(CPA)~ 法人税の計算

会計の海のブログで、最近3年間の出題論点を紹介しました。どの論点を何題出題するか、以下を意識して作成しました。
◎ 減価償却費、租税公課、受取配当等の益金不算入は、毎回出題すること
◎ 上記3論点の次に出題されやすい、給与、交際費、寄附金、資産の評価、繰延資産、グループ法人税制などを重点的に出題すること
◎ 貸倒引当金、損失の繰越控除は、2018年に出題されたばかりなので、2019年はやや出題可能性が低く、答練では1問までに抑えること
◎ 別表5の記載、デリバティブ取引、税効果会計、外貨建取引、請負工事、借地権、欠損金の繰り戻し還付など、出題可能性の低い論点も一通り出題しておくこと

では、分野別に検討していきましょう。

1. 減価償却費
ここ10回の本試験で10回出題されています。直近3回の本試験での配点は平均して4点/100点です。
学習範囲が広範な割に配点は低めです。
ただ、減価償却費の4点は全て合わしたいところです。資本的支出か修繕費かなどは判断が難しいですし、償却方法の変更といった端っこの論点が出題されると、満点はきついかもしれませんが、そういった端っこの論点も含めて、全論点を網羅的に準備しておきたい分野です。もちろん、答練では、全回で出題しています。

2. 受取配当等の益金不算入
ここ10回の本試験で10回出題されています。直近3回の本試験での配点は平均して6.3点/100点です。
簡単ではないですが、高得点を狙いにいく分野です。論点としては、まず、完全子法人株式等、関連法人株式等、非支配目的株式等、その他の株式等への正確な分類です。保有割合による分類は簡単ですが、保有期間の要件が細かくて覚えにくいところです。ただ、過去に保有期間に関する細かな要件まで問われているので、対策としては必須です。その他にも、外国子会社からの配当等、外国子会社以外の外国法人からの配当等、控除負債利子の計算、短期所有株式等に係る配当等の額、みなし配当、所得税額控除など、論点は盛りだくさんです。一つ残らず、全部抑えにかかりましょう。もちろん、答練では、全回で出題しています。

3. 租税公課
ここ10回の本試験で10回出題されています。直近3回の本試験での配点は平均して6.6点/100点です。
租税公課は出題されることが分かっているのに、得点できない受験生が多い分野です。本試験では、様々な形式で出題してきますが、結局は、テキストで解説している一つの下書きパターンに当てはめていくことができます。あの下書きパターンに当てはめることさえできれば、容易に正解できます。そのためには、様々な形式で与えられる資料を、自分の下書きパターンに当てはめていくトレーニングが必要です。あの下書きパターンに当てはめる、この一点に集中して答練を解いてみて下さい。もちろん、答練では、全回で出題しています。

4. 給与
ここ10回の本試験で5回出題されています。
ただし、3年連続で出題されているので、そろそろお休みのタイミングかもしれないです。給与は資料が多くなる論点なので、給与が出題されないとなると、出題論点が2、3増加すると予想されます。

給与も論点が多い分野です。しかも、不相当に高額な部分の計算、同族会社の特定株主等、ストック・オプション、そして、給与の総合問題の解法順序など重たい論点が含まれています。
答練では2回出題しています。タイミング的には出題されない可能性が高いですが、私が受験生なら、テキストに収録されている3問の総合問題と答練の復習は確りします。

5. 交際費・寄附金
ここ10回での出題は、交際費7回、寄附金2回です。
交際費は、2009年以降、2回出題されて1回休み、というサイクルを繰り返しています。そのサイクル通りであれば、2019年は出題されることになります。テキストに数多くの例を列挙しているので、繰り返し確認作業をする必要がありますが、判断に迷う問題も出題されるので、50%程度の確率で正解できれば良い論点です。答練では、2回出題しています。
寄附金は前年度に出題されているので、総合問題での出題可能性は低いです。ただし、「相手側が得した金額を寄附金とする」といった論点は、理論対策として必要になります。

6. 資産の評価・繰延資産
ここ10回での出題は、資産の評価4回、繰延資産2回です。
資産の評価には、棚卸資産の評価、有価証券の評価、固定資産の評価が含まれます。2年連続で出題されていますが、重要性や理論との兼ね合いで外せない論点です。計算問題を特にあたっては、施行令や通達知識も必須となりますが、テキストでいうと、過去問の紹介を含めても7ページしかありません。労を惜しまず、確りと復習して下さい。
繰延資産は、タイミング的には出題される可能性が高い分野です。テキスト第10章4ページの表と5ページの5つの設例、広告宣伝用資産の贈与側と受贈側の処理を確りと復習しておいて下さい。
答練では、資産評価を3回、繰延資産を1回出題しています。

7. グループ法人税制
ここ10回で5回出題されています。
3回連続で出題されているので、そろそろお休みのタイミングです。ただ、小問として出題しやすい論点でもあるので、答練では3回出題しています。

8. その他の論点
その他の論点として、別表5の記載、デリバティブ取引、税効果会計、外貨建取引、請負工事、借地権、欠損金の繰り戻し還付、圧縮記帳、研究開発税制、特定同族の留保金課税などが考えられます。改正のタイミングや過去の出題傾向を考慮しつつ、多くの論点を答練に反映させています。ただ、第2回は、別表5の記載を大々的に出題しました。会計士の答練ではあまり見かけないので、資料配付の意味もあって出題しましたが、別表5は他校の受講生も手薄な論点なので、しんどい方は回避しても大丈夫です。