日商簿記検定 第147回

第147回の日商1級と2級を受験してきました。
私が受験した教室では、1級の出席率が8割、2級は7割程度でした。また、1級は2割、2級は4割くらいの方が女性という構成でした。
1級では、商会を終えた時点で帰ってしまった受験生が1割以上いましたので、難しかったのかもしれないです。

このところ、毎年、毎回、日商1級、税理士試験、公認会計士試験を解いていますが、日商1級が難易度、問題量ともに最も安定しています。

1級の試験問題は、各回、各問題の難易度のバラツキが少なく、合格ラインが7割に設定されていることもあって、解きやすく、作問者のキャパシティにも余裕が感じられ、とても好感が持てます。
問題量が少ないので、不得手な分野が出題されたときに、即アウトになってしまうリスクがありますが、アウトになっても半年に1回実施しているので、気持ちの回復も早いでしょう。

対極にあるのが税理士試験で、難易度のバラツキが多く、作問ミスも頻発しており、作問者自身がアップアップしている感が窺えます。
簿財に関しては、時間内に決して解ききることができないほど問題量が多いので、自分の得意分野からの出題されている問題をチョイスしながら解き進め、50%くらい得点できれば合格ライン到達という、ちょっと不思議な試験です。
ということは、得意な分野を毎年、少しずつ増やしていけば、必ず合格できます。

日商1級と税理士試験の中間が公認会計士試験です。
会計の部分だけを取り出した話ですが、短答式では財務会計論が26問、管理会計論が16問と、ある程度問題量が確保されており、出題分野の構成も大きく変化しないことから、普段の成績が合否に反映されやすい試験です。
60%~70%の得点率が合格ラインで、出題範囲が広い分、努力型の試験といえそうです。
論文式の会計学(財務)は難易度が高く、合格ラインが50%程度となりますが、問題形式や出題分野の構成は安定しています。大崩れすることもなければ、高得点を狙う戦略科目といった位置づけでもなく、つまらないミスをしないことを心掛けて、やり過ごす感じが良い試験です。
会計学(管理)は、ライバルに大きなアドバンテージをつけることのできる戦略科目ですが、ちょっと話が「日商簿記検定 第147回 」というタイトルからズレてきました。もとに戻しましょう。

第147回の商業簿記では、海外支店を含む本支店会計が出題されました。全体的に取引量が少なく、「難しくて解けない」ということもない良問でした。
会計学で出題された理論は、2問がやや難易度が高く、こういう問題が出題されると、全体的な難易度も高く感じられてしまいますが、満点を取る必要はないので、動揺しないように心掛けて下さい。
最近、企業結合・事業分離の分野からの出題が多いのは、試験委員の研究分野なのかもしれません。
リースや税効果会計からも出題され、1級に相応しい問題だったと思います。

工業簿記は個別原価計算、原価計算では連産品と追加加工の可否に関する業務的意思決定、そして、経営レバレッジに関連する問題が出題されました。
いつものことですが、個別原価計算をていねいに解いていると、時間的に厳しくなるので、時間配分に気を配る必要がありました。
連産品の問題は、業務的意思決定を含め、伝統的な典型論点なので、熱心に勉強されている方にとっては、美味しい問題だったと思います。
最後の、経営レバレッジに関連する問題は、「例えば、経営レバレッジ係数が6の会社は10%販売量が増加すると、60%営業利益が増加する。」といったことを講義で聴いたときに、「自分で電卓を叩いて確かめてみる」といった、姿勢で受講しているかが問われた問題でした。
ちょっとしたシミュレーションをしてみるのは、とても良いことです。

日商の1級は、商会80点、工原は満点狙いでいくという気持ちで学習していれば、合格できるはずです。

最後に、余談になりますが、第147回の2級で可愛らしい連結会計の問題が出題されていました。
ちょっと、微笑ましく感じました。