財務会計論Ⅲは、連結会計、企業結合及び事業分離の計算に特化したテキストです。
公認会計士試験の受験生が、連結会計、企業結合及び事業分離の学習に費やす時間は膨大です。この分野のマスターなしに合格は不可能ですが、短答式の配点は200点中32点~40点しかなく、あまり費用対効果はよくないのが実情です。この分野に時間をかけすぎずに、ほかの受験生に負けない程度の得点ができるようになることを心がけてください。

Ⅰ. 学習方法

  1:本試験での配点

財務会計論の短答本試験は、28問が出題され、おおよそ4割が理論問題、6割が計算問題です。計算問題のうち、最後の6問は、いつも連結会計の総合問題が出題されます。配点は他が1問8点なのに対し、連結の総合問題は1問4点しかありません。なので、6問の合計は24点で、他の問題の3問分にすぎません。
企業結合や事業分離からは1~2問の計算問題が出題されます。こちらは、他の問題同様、1問8点です。

  2:学習への心構え

連結の総合問題は、1問4点しかなく、配点が少ないので、大きくは失点しません。従って、満点狙いではなく、6問中4問を正答するイメージで学習しましょう。
企業結合や事業分離の計算問題は、資料が少なく、方針が決まれば、短時間で正答できます。しかし、計算パターンが多く、苦手にする分野でもあります。結果的に、Cランクの捨て問とされることも多いので、他の分野の学習をしっかりと済ませてから学習するのがよいと思います。

Ⅱ. 教材の紹介

  1:財務会計論Ⅲ(連結会計等)  (講義時間: 26時間) 


財務会計論の28問中6割程度の15問~18問が計算問題です。そのうち、1~2問が企業結合等、最後の6問が連結会計の総合問題です。 本テキストは、この両者に的を絞り込んでいます。
連結会計は範囲が広く、大手専門学校のテキストでも 1,000ページ以上を費やしています。これは、同時並行して論文用の講義も行うためです。しかし、大手専門学校のアンケート調査によると、論文対策を兼ねた 1,000ページ以上のテキストをやっているはずの大手専門学校の受講生でも、企業結合等は4割以下、連結会計の総合問題も6割程度しか得点出来ていないことが多いです。
FINの連結会計等のテキストは、250ページ程度ですが、ここ数年の本試験をとってみても、 FINの教材だけで十分に合格点を獲得できる内容です。会計士試験は、「働きながら合格する受験生はほとんどいない。」といわれていますが、逆に、 FINの合格者のほとんどが社会人です。時間的な制約の大きい社会人の方が合格しているのは、財務会計論で効率的な学習をしていただいてるのも大きな要因だと考えています。財務会計論にばかり時間を取られ、理論科目がおろそかになると、受験期間が長期化してしまいがちです。
本テキストでしっかりインプットした上で、連結対策の計算問題集Vol.2を繰り返す解くことによって、合格レベルを維持できるはずです。

  2:計算問題集Vo2.1  (解説時間: 5.5時間) 

連結会計や企業結合等の問題集です。基礎的な総合問題と、上級用総合問題から構成されています。
前半は、日商2級の連結会計の範囲で制作していますが、難易度の比較的高い問題です。
後半は、財務会計論Ⅲに対応した問題集ですが、総合問題ばかりなので、テキストの10章まで学習してしてから、解き始めた方が良いです。ただし、問題12、13の連結キャッシュフローについても問われているため、キャッシュフロー計算書が初めての方は、財務会計論Ⅳのの学習を終えてからということになります。後半については、解説動画があります。
会計士短答式などの過去問をベースに、良問ばかりを集めた問題集となっておりますので、是非、合格にお役立て下さい。連結等に関しては、とにかく「良質な総合問題を繰り返し」というのが、効率的な学習になります。