商業簿記の問題として、有価証券、手形、債権の譲渡、リース取引、外貨建取引、固定資産の減損など、さまざまな会計処理も出題されますが、個別取引の会計処理については、「会計学」の教材で学習します。そこで、商業簿記としては、連結会計や企業結合、事業分離を簿記論Ⅰで、本支店会計等を簿記論Ⅱで学習します。

Ⅰ. 学習方法

連結会計や企業結合、事業分離については、公認会計士短答式の教材と共通ということもあって、ややオーバースペックな内容となっています。隅から隅まで克服する必要はないですが、各章の要点となる仕訳をノートにまとめて、まずは、ノートを見ながらであれば、連結の総合問題を解答できるレベルを目指してください。もちろん、本試験では、何も見ないで解答しなければいけないので、仕訳ノートなしで解けるようになるまで繰り返し総合問題を解くようにしましょう。

本支店会計については、2級でほぼ学習済みになっているはずですが、1級では在外支店の換算も要求されるので、本支店会計は在外支店のあるケースを中心に学習し、在外子会社の換算との比較なども積極的に取り組んでください。

Ⅱ. 教材の紹介

  1:簿記論Ⅰ(連結会計等)講義時間: 26時間 

「簿記論Ⅰ」では、連結会計、企業結合、事業分離を取り扱っています。ここ5年間の会計士短答式本試験問題を解ききることができるようなレベルに設定して制作しています。短答式本試験と日商1級の連結会計は、ほぼ同レベルなので、両試験に活用でき、本テキストの内容をしっかり学習しておけば、合格点はクリアできるはずです。 連結会計は、「連結修正仕訳をいくつ覚えているか」にかかっています。本テキストにも数多くの連結修正仕訳が掲載されています。覚えにくい仕訳は、仕訳ノートを作って、暗記しておけば、連結会計の問題をスムーズに解けるようになります。

  2:計算問題集Vol.2 (連結会計等)解説時間: 5.5時間 

前半は、日商2級の連結会計の範囲で制作していますが、難易度の比較的高い問題です。 後半は、簿記論Ⅰに対応した問題集ですが、総合問題ばかりなので、テキストの10章まで学習してしてから、解き始めた方が良いです。ただし、問題12、13の連結キャッシュフローについても問われているため、キャッシュフロー計算書が初めての方は、簿記論Ⅱの学習を終えてからということになります。後半については、解説動画があります。 会計士短答式や日商1級の過去問をベースに、良問ばかりを集めた問題集となっておりますので、是非、合格にお役立て下さい。連結等に関しては、とにかく「良質な総合問題を繰り返し」というのが、効率的な学習になります。

  3:簿記論Ⅱ(本支店等)講義時間:17時間 

「簿記論Ⅱ」では、現金・手形・有価証券・商品売買・本支店については、3・2級の学習分野も含めて解説しています。これは、日商試験の出題範囲が頻繁に変更されるため、3・2級の学習時期によって学習内容が左右されないように配慮しているためです。受験生によっては、既に学習済みの内容が多く含まれますことをご理解下さい。 また、帳簿組織の特殊仕訳帳は、日商1級の試験範囲から除外されております。日商1級に絞っている受験生は、学習対象から除外しても大丈夫です。ただし、特殊仕訳帳の構造を理解しておくことは、実務上重要と思われますので、積極的に取り組んで頂れば今後に役立つはずです。 入門期に学習していない分野は、特殊商品売買とキャッシュ・フロー計算書です。特殊商品売買については、新収益認識基準による影響で、今後、割賦販売や委託販売の仕切計算書到達基準は出題されなくなることが予想されます。 キャッシュ・フロー計算書は、会計士試験だけでなく、税理士試験、日商1級においても出題実績があります。手を広げていくと、かなり難解になりますが、試験に合格できる実力を付けるという意味では、本テキストと問題集で十分なので、両教材をしっかりとやりこんで下さい。

  4:計算問題集Vol.3 (本支店等)解説時間: 7時間 

簿記論Ⅱに対応した問題集です。会計士の短答式試験と同程度の資料量で作成していますので、学習内容の確認にご利用下さい。特殊商品売買の原価率算定問題は、出題可能性が低いこと、他の受験生も手薄であることから、余裕がある人だけで構わないです。 また、近年、2級の学習分野とされた「クレジット売掛金」や「リース」などについて、2級テキスト該当部分を本問題集の後半に収録しておりますので、未学習の方はご参照ください。なお、最後の2ページで、消費税の計算の仕組みを紹介しています。日商1級の試験では、法人税や消費税の税額計算自体は問われませんので、最後の2ページは参考資料となります。

以上です。