現金預金、手形、商品売買、帳簿組織、本支店会計など、古典的な論点を中心に取り扱います。かつて、簿記といえば、こういった分野をいいましたが、公認会計士試験では、あまり出題されません。ただ、出題された場合、Aランクとされることが多いので、現金預金と本支店会計はしっかりと学習しておきましょう。

Ⅰ. 学習方法

  1:配点

財務会計論の4種類のテキストと、本試験(200点満点)の配点との関係は、おおよそ次のようになっておりますので、学習時間の配分の目安にして下さい。
①財務会計論Ⅰ(個別論点):配点72点/200点(@8×9問)
②財務会計論Ⅱ(理論):配点80点/200点(@8×10問)
③財務会計論Ⅲ(連結):配点32点/200点(@4×6問+@8×1問)
④財務会計論Ⅳ(本支店・特商等):配点16点/200点(@8×2問)
これを見ると、財務会計論Ⅳへの配点が極端に少なく、ちょっと学習する意欲がなくなってしまいますが、現金預金は頻出分野で、配点が8点もあります。あとは、一般商品売買と本支店が出題された場合、Aランクとされる可能性が高いです。

  2:学習の心構え

本テキストには、キャッシュフロー計算書や企業結合等の理論も含まれています。キャッシュフロー計算書は個人的にはもっと出題してほしい分野ですが、残念ながら出題頻度は高くありません。また、企業結合等の理論については、頻出論点ではありますが、細かな知識が必要とされ、結果的に、Cランク問題とされることが多いので、費用対効果はよくありません。
財務会計論Ⅰ~Ⅲと比べて、配点も重要性も低い論点を集めた教材なので、学習進捗程度に余裕が出てきたら、財務会計論Ⅳの教材まで手を広げるようにしてください。その際、現金預金が最重要になります。

Ⅱ. 教材の紹介

  1:財務会計論Ⅳ  (講義時間: 20時間) 

現金・手形・有価証券・商品売買・本支店については、入門期(日商3・2級)の学習分野も含めて解説しています。これは、最近、日商試験の出題範囲が変更され、入門期の学習時期によって学習内容が異なるため、財務会計論Ⅳ(簿記論Ⅱ)の段階で、一通りの講義をしておく必要があると考えたためです。このため、受験生によっては、既に学習済みの内容
が多く含まれますことをご理解下さい。
また、帳簿組織の特殊仕訳帳については、日商1級の試験範囲から外されていますので、日商1級を受験する際には、学習対象から除外しても大丈夫です。ただ、特殊仕訳帳の構造を理解しておくことは、実務上重要と思われますので、積極的に取り組んで頂ければ今後に役立つはずです。
入門期に学習していない分野は、特殊商品売買とキャッシュ・フロー計算書です。
特殊商品売買については、公認会計士試験の「試験範囲の要旨」からは令和2年度より「委託販売、割賦販売、試用販売、予約販売」が削除されておりますので、出題可能性は低いと思われます。
キャッシュ・フロー計算書は、会計士試験だけでなく、税理士試験、日商1級においても出題実績があります。手を広げていくと、かなり難解になりますが、試験に合格できる実力を付けるという意味では、本テキストと問題集で十分なので、両教材をしっかりとやりこんで下さい。連結キャッシュフローについては、財務会計論Ⅲ(連結会計)の学習後に始めて頂いても大丈夫です。

 

  2:計算問題集Vol.3  (解説時間: 4時間) 

財務会計論Ⅳに対応した問題集です。会計士の短答式試験と同程度の資料量で作成していますので、学習内容の確認にご利用下さい。特殊商品売買は、出題可能性が低いこと、他の受験生も手薄であることから、余裕がある人だけで構わないです。
また、最近、2級の学習分野とされた「クレジット売掛金」や「リース」などについて、2級テキスト該当部分を本問題集の後半に収録しておりますので、未学習の方はご参照ください。なお、最後の2ページで、消費税の計算の仕組みを紹介しています。短答式試験では、法人税や消費税の税額計算自体は問われませんので、参考資料となります。