論文式試験の監査論は、多くの実施回で第1問が純理論問題、第2問が事例問題となっています。第1問では一つのテーマを切り口に、監査総論・主体論・実施論・報告論等の様々な分野について問われる傾向があり、日頃から分野横断的な学習を心がける必要があるようです。第2問では、与えられた被監査会社の状況に基づいてリスク評価を行い(解答し)、その結果を基に実施すべきリスク対応手続きを説明させる形式が多いようです。状況の変化に伴いリスク評価を見直し、監査計画の変更を行うことも頻出パターンです。
Ⅰ. 学習方法
まず、主要な監査概念の定義等は、本試験会場で配布される法令基準集に収録されている語句等については検索して転記すれば良いともいえますし、検索する時間が惜しいから覚えてしまった方が早いともいえるので、各人の検索力や暗記力に応じて柔軟に対応すれば良いでしょう。また、多くの受験生が答案を用意しているであろう典型論点等は、答案を用意しておく方が無難です。しかし、問題の切り口によっては用意した答案そのままでは論点がズレてしまうこともあります。答案例を丸暗記するのではなく、暗記はキーワードやキーフレーズに留めて、「理由と結論」や「場合分けしたそれぞれ結論」というように論旨を理解して、柔軟にキーワードやキーフレーズを組み合わせられるように準備することが理想的です。本試験会場でキーワードやキーフレーズが出てこないとき、論点の見当もつかないときの保険として、法令基準集を検索することに慣れておくことも重要です。論文式試験科目の中では、監査論の法令基準集は現場での役立ちが高い方ですから、事前に入手しておおよその構成くらいは確認しておくに損はないと思います。
事例問題については、過去問に取り組むことが実践的で有効だと考えています。ただし、第1問もそうですが、事例問題は特に「唯一絶対の解答」があるわけではありません。与えられた被監査会社の状況に対して、模範解答と異なるリスクに気づき、そのリスクに関連する監査要点や監査手続きが適切に指摘できたなら、それも十分に得点になるはずです。過去問の模範解答を覚えようとするのではなく、「こうした状況では、まずこのリスクに注目すると、この後の問にも解答しやすいのだな。」「このリスクにはこの手続きを対応させるのが、実務的には有効なのだろう。」という経験則の積み重ねのためと考えてください。
Ⅱ. 教材の紹介
1:監査論-論文式試験対策 (講義時間: 20.5時間)
短答式試験対策の知識があることを前提に、できるだけ論文式試験で問われやすい論点に絞って解説をしています。事例問題にも対応しやすいように、リスク評価とリスク対応の関係性を一覧にする、具体的状況や具体的手続き等を一般化された監基報の記載に付記するといった工夫をしています。記述例も多く紹介していますが、Ⅰ.学習方法でも指摘したように、丸暗記はお薦めしていませんので、キーワードやキーフレーズを色つけして覚えやすいようにしています。巻末には過去問解説を数年分ご用意しています。事例問題対策として利用してください。
2:監査論-短答知識確認 (講義時間: 14.5時間)
短答式試験(監査論)免除者を対象に、論文式試験では直接は問われないが、その前提とはなってくる詳細な知識について解説している教材をご用意しています。論文式試験対策教材で学習を進める中で、知識が不明確な内容が出てきたときに参照する教材としてご利用ください。
3:監査論メール配信
約週1回のペースで監査論の理論問題の「問題・答案・解説」のセットを、何問かずつメール添付のPDFファイルでお届けします。監査論の配信はテキストの記述例よりも少し難しめの内容になって
解説には、できるだけ関係する監基報等を記載していますので、
タブレットでの学習に適したサイズですので、隙間時間の学習に是非お役立てください。