企業法は、本試験形式のQ&Aを数多く読み込み、答案の作成パターンを身につけることが、合格ライン到達への近道です。そこで、専門学校で取り扱うような様々な論点について、Q&A形式でテキストを制作しています。
本試験では、立法趣旨を丁寧に書くこと、論点ずれを避けることにさえ留意しておけば、専門学校の答練のように大きく点数に差がつかないので、冒険はせずに、採点基準に着実にヒットするような答案作成を心がけて下さい。

Ⅰ. 学習方法

 受験生の頃に、最も有効な学習方法だったのが、「優秀答案を読む」ことでした。当時の専門学校では、答練の返却ボックスに、点数順に答案が重ねられていて、誰でも他の受験生の答案が読めました。優秀答案は、受験校の講師が作成する模範解答に比べ、どこか血の通った、親近感のある分かり易いものでした。何よりも理解が深まりましたし、受験生が答案に列挙できる条文番号がどの程度なのかも把握できました。また、点でしかなかった知識が線でつながっていくこともありました。

短答式の企業法は、「最もベテラン勢が有利な科目」といわれていて、受験生は条文知識を身につけることに相当な時間を費やしているはずです。短答合格レベルの条文知識があるのであれば、論文合格のためには、できるだけ多くの「優秀答案を読む」のが一番の近道だと考えます。

そこで、論文対策として、「会計士受験で知っておくべき115個の論点」を本試験と同様のQ&A形式にした教材を制作しました。テンポ良く解説しているので、効率的に学習して頂けるはずです。

Ⅱ. 教材の紹介

  1:企業法(論証例)  (講義時間:12.5時間) 

論文対策の企業法では、115個の論点を解説します。延々と論証例の解説を行うのでは飽きてしまうので、Ver.1からVer.3に分けて、2人の講師が分担して講義を行っています。企業法(論証例)の教材に掲載されている論点は、以下のとおりです。

【Ver.1】

第1章 設 立

1. 仮装払込み ~ 見せ金の効力
2. 仮装払込み ~ 発起人の責任
3. 定款に虚偽記載のある財産引受け

第2章 株 式

1. 自己株式取得 ~ 手続規制
2. 自己株式取得 ~ 財源規制
3. 株式併合
4. 株式分割
5. 株主名簿 ~ 会社側の書換拒否
6. 株主名簿 ~ 株主側の書換失念
7. 株式併合と単元株制度 ~ 手続き
8. 株式併合と単元株制度 ~ 端数と単元未満株

第3章 株主総会

1. 総会決議 ~ 議決権の代理行使
2. 総会決議の瑕疵 ~ 取消しの訴え
3. 利益供与 ~ 禁止規定適用の可否
4. 利益供与 ~ 株主による責任追及
5. 株主総会 ~ 決議取消原因
6. 総会決議なき事業譲渡

第4章 取締役

1. 取締役の責任 ~ 会社に対する損害賠償責任
2. 取締役の責任 ~ 第三者に対する損害賠償責任
3. 取締役の責任 ~ 特定責任追及の訴え
4. 代表取締役の職務執行 ~ 取締役による監督
5. 取締役の職務執行 ~ 株主及び株主総会による監督
6. 取締役の職務執行 ~ 監査役による監督
7. 取締役 ~ 報酬
8. 取締役 ~ 内部統制システムの整備
9. 代表取締役の選任
10. 代表取締役 ~ 重要な財産の処分
11. 代表取締役 ~ 権限の濫用
12. 利益相反取引 ~ 判定
13. 利益相反取引 ~ 効果
14. 代表取締役の善管注意義務違反 ~ 取締役による阻止
15. 代表取締役の善管注意義務違反 ~ 監査役による阻止
16. 代表取締役の善管注意義務違反 ~ 株主による阻止
17. 取締役会決議 ~ 定足数不足

第5章 監査役等

1. 監査役 ~ 解任手続
2. 監査役 ~ 報酬決定
3. 監査役と会計監査人
4. 会計参与と会計監査人 ~ 選任・解任
5. 会計参与と会計監査人 ~ 報酬

第6章 監査等委員会設置会社等

1. 監査等委員会設置会社 ~ 組織
2. 監査等委員会設置会社 ~ 選任・解任・報酬

第7章 資金調達

1. 新株発行 ~ 差止請求権
2. 新株発行 ~ 無効の訴え

第8章 会社の計算

1. 減 資 ~ 欠損填補

第9章 事業譲渡と組織再編

1. 吸収合併 ~ 株主の保護
2. 吸収合併 ~ 会社債権者の保護
3. 吸収合併 ~ 株主の保護
4. 合 併 ~ 差止請求権
5. 合 併 ~ 無効の訴え

第10章 持分会社

1. 合名会社と株式会社の比較 ~ 出資の目的等
2. 合名会社と株式会社の比較 ~ 投下資本の回収方法
3. 合名会社と合同会社の比較 ~ 利益配当に関する財源規制
4. 合名会社と合同会社の比較 ~ 出資の払戻しに関する財源規制

【Ver.2】

《設立》

01 資本充実規制について(公開会社かつ監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社以外)

02 発起人の行為の効果を成立後の会社に帰属させる法律構成と発起人の権限の範囲について

03 設立費用に関する規制内容について

04 設立中の会社甲の発起人Xは、X名義において定款等の印刷を印刷業者Yに委託したが、甲会社設立後において印刷代金80万円が未払となっている。甲社の定款に設立費用として50万円の記載がある場合に、印刷業者Yは、誰にいくら請求できるか。

05 設立中の会社甲の発起人Xは、営業用地として乙土地をBから購入したが、この件について定款に記載を行わなかった。この場合、成立後の会社甲は、乙土地を取得することができるか。

06 設立中の会社甲の発起人Xは、営業用地として乙土地をBから賃借し、この件について定款に記載を行った。
この場合、この賃貸借契約の効果は成立後の会社甲に帰属するか。

07 発起人が払込取扱金融機関と通謀し、払込取扱金融機関からの発起人の借入金を帳簿上払込みにあて、当該借入金の返済があるまでは預金引き出しに応じない旨の特約を結んだ場合の払込みの効力、及び会社設立の効力

08 発起人が払込取扱金融機関以外の金融機関から借り入れた資金を払込みにあて、会社成立後、直ちに会社預金を引き出して借入金に返済に充てた場合の払込みの効力

09 見せ金の場合の払込取扱金融機関の払込金保管証明責任

《株式》

01 株主平等原則について

02 公開会社甲が、株主代表訴訟の提訴権を総株主の議決権の100分の1以上の議決権を有する株主に限るとした定款の定めの効力

03 航空会社甲が個人投資家勧誘を目的として、すべての株主に羽田伊丹間往復航空券を100株毎に1枚(1往復に限り有効)を交付した場合の効力

04 株式譲渡自由の原則について

05 株式譲渡の制限について

06 権利株の譲渡の効力

07 株券発行前の株式譲渡の効力

08 公開会社かつ株券発行会社である甲社は、会社成立後半年が経過した現在に至るまで、株券を発行していない。
甲社株主Aがその有する甲社株をBに譲渡した場合、譲渡の効力はどのように解されるか。

09 会社の承認のない譲渡制限株式の譲渡の効力

10 一人会社における定款による譲渡制限に違反した全部の株式譲渡の効力

11 譲渡株主以外の株主全員の同意がある場合の、会社の承認なく行われた譲渡制限株式の譲渡の効力

12 会社が発行済株式の全部又は一部を譲渡制限株式とする場合の株主保護規制について

13 種類株式発行会社でない公開会社甲は、従業員の甲社株式取得に奨励金を与える従業員持株制度を採用している。
① 甲社株式を保有する従業員Aへの会社甲の奨励金支給行為は有効か。
② 従業員持株制度に基づき甲社株式を取得した従業員Aと会社甲との間で結ばれた、退職時には取得原価で会社甲に譲渡する契約は有効か。

14 株券発行会社甲が発行し株主Aに交付しようとした株券が、株主A到達前に何者かに盗取され、その後、株券の交付によりBに譲渡された場合、Bの善意取得は成立するか。

15 自己株式の合意による取得についての規制について(指名委員会等設置会社でない公開会社)

16 授権決議を欠く(自己株式取得規制に違反)自己株式取得の効力と譲渡人からの無効主張の可否

17 子会社による親会社株式の取得規制と子会社が適法に保有している親会社株式の地位(指名委員会等設置会社でない公開会社)

18 株券発行会社甲の株主AがBに対して株券の交付による株式譲渡をなした。
① Bが株券を提示して請求した名義書換を、盗難届が出されていることを理由に会社甲が書換拒絶した場合に、Bは会社甲に対して株主権を行使できるか。
② 名義書換請求を怠っていたBが、基準日後に実質的権利者であることを会社に対して証明した場合に、会社甲は名義書換未了のままBに株主総会での議決権行使させられるか。

19 会社甲の株主AがBに対して株式を譲渡したが、Bが株主名簿の名義書換請求を怠っていたため、会社甲の株主割当てによる新株発行について、会社甲が株式を割り当てる権利をAに付与し、Aが払込みをなして株式を取得した場合に、AとBの間の法律関係はどうなるか。(①解答例1、②解答例2)

《機関》
01 公開会社の機関設計の特色 (監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)

02 権限委譲の是非(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)
① 業務執行の決定権を取締役会から株主総会に権限委譲できるか
② 代表取締役の選任権を取締役会から株主総会に権限委譲できるか

03 公開会社における株主の議決権保護についての説明(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)

04 代理人資格を株主に限定する定款規定の効力(代理人の出席を認めずになされた総会決議の効力)
事例:法人株主が使用人を代理人とする場合
病人・老齢者が親族を代理人とする場合

05 株式相互保有の弊害とその対策

06 定時株主総会において一般株主からの質問等を抑制するために、甲社の取締役総務部長Aは総会屋である甲社の株主Bに総会対策を依頼した。甲社は、その見返りとしてBの営む会社の商品Xを相場の倍の値段で購入した。
甲社の株主Cは、本件商品Xの購入により生じた損害について、会社の損害の回復を取締役A及び株主Bに求めることにした。株主Cがとり得る会社法上の措置について説明しなさい。なお、甲社は監査役会設置会社かつ公開会社である。

07 一部の株主に対する招集通知漏れがあった場合の株主総会決議の効力

08 株主総会において、拒否事由がないにもかかわらず、取締役が株主の質問の一部に答えずになされた株主総会決議の効力

09 他の株主に対する招集通知漏れに対して、招集通知を受けた株主自らが原告となり決議取消しの訴えを提起できるか

10 提訴期間内に決議取消しの訴えを提起し、その後、決議から半年を経過した後に裁判の中で新たな取消原因を追加できるか

11 公開会社における取締役の行為規制(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)

12 公開会社である甲社は、X市に本社を置きX市を中心として和菓子の製造販売を行っている。
① 甲社の取締役Aが、X市内において息子Bの名義により和菓子の製造販売を行うために必要な手続き、及び、その手続きを欠いてなされた取引の効力(監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社を除く)
② 甲社の取締役Aが、X市内において息子Bの名義により和菓子の製造販売を行ったことにより甲社に損害が生じた場合の取締役Aの責任

13 公開会社である甲社は、定款に事業目的の一つとして和菓子の製造販売と記載しており、X市において当該事業開始のための市場調査等を開始した。
甲社の取締役Aが、取締役会の承認を得ることなく、X市内において息子Bの名義により和菓子の製造販売を行った場合に、甲社はどのような措置を取り得るか。

14 公開会社である甲社は、X市に本社を置きX市を中心として和菓子の製造販売を行っており、Y市に店舗用地として土地を取得する計画に基づき、土地所有者Bを交渉中である。
甲社取締役AがB所有の土地を個人として購入した場合、この取引は競業取引にあたるか。

15 公開会社である甲社は、X市に本社を置きX市を中心として和菓子の製造販売を行っている。甲社取締役Aは、業務提携の一環として、X市で和菓子を製造販売する乙社の代表取締役に就任した。
① Aが乙社の代表取締役として和菓子をBに販売する場合に、甲社取締役会の承認が必要か。
② Aが乙社の代表取締役として、X市内の和菓子店に毎月一定量の和菓子を販売する場合に、各取引について甲社取締役会の承認が必要か。
③ 乙社が甲社の子会社であるとき、Aが乙社の代表取締役として和菓子をBに販売する場合、甲社取締役会の承認が必要か。

16 公開会社である甲社の取締役Aは、Cから50万円の借入を行った。甲社の代表取締役Bが、取締役会の承認を受けることなく、甲社の代表取締役として、取締役Aの借入についてCとの間で保証契約を締結した場合の保証契約は有効か。

17 一人会社である甲社の取締役Aは、単独株主でもある。甲社の取締役Aが、利益相反取引をなす場合に、取締役会の承認は必要か。

18① 公開会社の取締役の報酬規制の内容と趣旨(指名委員会等設置会社を除く)

② 退職慰労金は取締役の報酬規定の対象か

③ 使用人兼務取締役の使用人としての給与は取締役の報酬規定の対象か

19 公開会社である甲社の代表取締役Aは、取締役会決議に基づき、乙社株式を取得し子会社としたが、乙社株式取得資金の負担により甲社の経営状況が著しく悪化し損害が生じた。
1年前から発行済株式総数の5%以上を保有する株主Bが、甲社取締役の責任追及のための調査を開始したところ、Aが取締役会に提案した乙社株式の対価は、著しく合理性を欠いた高価格であったことが判明した。
① 代表取締役Aが甲社に対して負うべき会社法上の責任
② 株主Bがとりうる会社法上の措置等

20 取締役会設置会社である甲社は、代表取締役Aのずさんな経営により倒産し、会社債権者乙は債権の回収が不可能となった。会社債権者乙は、以下の取締役に責任追及できるか
① 取締役として適法に選任され登記されながらも、取締役としての職務を遂行しなくてもよいとの合意のあるB
② 取締役として適法に選任されてないにもかかわらず就任登記されたC
③ 退任登記未了の取締役D

21 取締役会設置会社である甲社の代表取締役Aは、自らの個人的債務の返済に充てる目的で、代表取締役としてBから50万円を借入れた。Bは、甲社に対して貸付金の返還を請求できるか。

22 資本金20億円の取締役会設置会社である甲社の代表取締役Aは、必要となる決議を経ることなく以下の代表行為を行った場合の効力
① 準備金の資本組入れ
② 事業譲渡
③ 主要事業において中心的役割を果たす工場建物・設備の処分

23 取締役会設置会社である甲社の代表取締役であったAは、取締役退任後、使用人となった後も甲社会長の肩書きを使用して得意先Bと取引を続けていたが、甲社は退任登記をしながらも、長期に渡りこれを黙認していた。
甲社会長Aが甲社のためにBと購入契約を締結した場合に、Bは甲社に売買代金を請求できるか

【Ver.3】

《設立》

01 虚偽の設立登記 ~ 会社成立の効力(株主が取りうる手段)

02 仮装払込み ~ 発起人の責任

《株式》

01 キャッシュ・アウト ~ 特定支配株主による株式等売渡請求

02 取得条項付株式の発行手続

03 総会決議なき募集株式発行の効力

04 払込みのない新株発行 ~ 不存在確認の訴え

《株主》

01 株主の権利 ~ 会計帳簿の閲覧権

02 株主の権利 ~ 株主名簿の閲覧権

《事業譲渡と組織再編》

01 事業譲渡と新設分割 ~ 株主・会社債権者の保護

02 事業譲渡 ~ 譲受会社が商号を続用する場合

03 子会社株式の売却

  2:企業法(条文知識)~ 短答教材  (プラス 10,000円、解説時間: 49.5時間) 

FINの論文合格コースでは、短答合格レベルの条文知識を前提に、論証例の解説を行います。企業法の条文知識に自信がない受験生や会計大学院の卒業生様向けに、企業法短答教材をセットにした「企業法短答+論文合格コース」をプラス10,000円でご提供しています。