公認会計士 論文式試験の租税法は、税理士試験でいう法人税法、所得税法、消費税法の3科目から出題されます。範囲は膨大ですが、出題形式が定型化されていること、あまり細かな論点までは出題されないことから、なんとか対応できるような内容となっています。配点は、理論40点、計算60点です。
(理論)40点
理論は、2題出題され、それぞれ、小問4問、小問5問で構成されていて、すべて事例問題です。条文集が配布されるため、税理士試験のような条文の暗記問題は出題されません。9問の事例問題の内訳は、おおよそ、法人税法5問、所得税法2問、消費税法2問となります。解答スペースは、小問1問あたり4行程度で、解答にあたり、根拠となる条文番号の記載が要求されます。従って、通達や質疑応答集よりも条文知識への対応が重要です。
計算対策の学習で対応できる問題がほとんどですが、過去問と同じ論点が出題されることもあるので、理論の過去問も一通り目を通しておく必要があります。FINではメール配信問題で、多くの過去問を紹介しています。
租税法の理論で、最も大変なのは、配布される条文集から根拠条文を探し出す作業です。結論がわかっていても、根拠条文を答えることができなければ合格点はもらえないので、日頃から条文を眺めるようにしましょう。
(計算)60点
計算は、法人税法、所得税法、消費税法の総合問題が3問出題されます。加えて、小問が出題されることもあります。配点は、法人税法30点、所得税法15点、消費税法15点と想定しておくとよいでしょう。
1. 租税法(法人税法)理論22点、計算30点
法人税法の計算は、租税公課、減価償却、受取配当の3つ論点が毎回出題され、この3つの論点だけで、配点30点のうち、半分程度得点できます。あとは、交際費、給与、グループ法人税制、貸倒損失が出題されやすいため、これら4つの論点もしっかりと学習して下さい。
なお、上記7つの論点のうち、最も難解なのは、租税公課の分野です。租税公課は、後回しにして、他の分野から始めた方が効率が良いと思います。
全く知らない論点も出題されますが、上記7つの論点で十分合格点に到達できますので、本試験では、早めに、所得税と消費税の計算に移行するように心掛けて下さい。
2. 租税法(所得税法)理論9点、計算15点
法人税法、所得税法、消費税法のうち、最も苦手意識を持つ受験生の多いのが所得税法です。税理士試験の受験生でさえ所得税法のすべてをやりきる人がいない、とされるくらい細かな規定が多いのと、そもそも公認会計士の監査実務で、所得税法の知識が必要とされることがほとんどないので、学習意欲が湧かないというのもあります。解答速報でも、所得税法の合格ラインが最も低く設定されることが多いです。
所得税法の計算は、ここ10年間、同じような形式での出題が続いています。テキストに10年分の過去問を掲載していますので、まず、「テキストを見ながらであれば、過去問は全部正解できる。」というレベルを目指してください。テキストを見ながら過去問を繰り返し解いて、次は、「テキストを見ないで、過去問を全て解ける」レベルにまで上げてください。
これが、合格レベルにもっていく、最も効率的な方法です。
理論は、例年2~3問で、埋没問題が1問含まれる印象です。FINの講座で取り扱う学習内容で解ける問題を解答しておけば大丈夫です。
3. 租税法(消費税法)理論9点、計算15点
理論は、例年1~2問で、消費税法の条文自体が少ないこともあって、比較的易しい問題が多いです。テキストの学習と平行して、条文にあたるように心掛けて下さい。
消費税法の計算は、2018年度の本試験が最も難しく、その後、徐々に易しくなっている印象です。税額の計算は定型的なので、資料に与えられている費用・収益項目について、それぞれ、消費税法が予定している4区分に分類できれば、完答できます。消費税法の計算への配点は15点で、完答できれば法人税法や所得税法のミスもカバーできます。是非、狙ってください。そのために、過去問から作成したスマホ用の「仕入区分・売上区分のPDF問題集」も同梱しています。
過去問を回しておけば、高得点を期待できるので、所得税法同様、テキストに10年分の過去問を掲載し、解説動画も収録しています。