会計学(午後)は、財務会計論から第3問~第5問の出題であり、理論問題(記述式)と計算問題が出題されます。第3問は個別論点中心の計算問題と関連する理論の小問が1問の組合せで2組出題されます。第4問は多少計算が絡むこともありますが、ほぼ理論問題です。第5問は多くの場合、連結会計の総合問題と関連する理論問題2~3問という構成です。連結の計算は、短答式では、連結財務諸表項目のうち8項目をピンポイントで問うてきますが、論文式では、40項目ほど問われます。連結の理論は、5行~10行程度の小問で、計算知識で解答できる問題も多いです。計算も理論も難易度のバラツキがあり、時間的制約も厳しいので、比較的容易な計算や典型論点の理論を取りこぼさずに得点していく要領も求められます。
Ⅰ. 学習方法
1:計算
計算問題は短答式試験よりも幅広い論点から出題されるので、短答対策よりは応用的な計算問題に手を広げる必要はありますが、基本的処理で失敗することの方が致命的ですから、ます基礎を確実にしてから応用に進むようにしてください。短答式試験と異なり選択肢は与えられませんから、計算ミスに気づきにくい側面がある点も注意が必要です。また、第3問では一つの経済事象について条件を少しずつ変えた様々な会計処理を要求する問題が出題されることがあり、取引条件や状況と選択的な計算処理が正確に結びついていないと迷いが生じて時間をロスすることにつながります。短答式試験に合格しているからには、十分な計算力があるはずですから、会計処理の選択に関する曖昧さを排除する方針を持って学習されると良いと思います。第5問の連結会計は、受験生が太刀打ちできないほど難易度が高い問題が出題されることがあるので、完答は意識せず、安全に、短答式試験対策で培った知識で得点できそうな問題を上手に拾っていくことが肝要です。短答式試験合格時の計算力を維持できるように、計算問題集Vol.2を繰り返し解いた上で、論文対策の総合問題集に収録されている問題にも手を広げ、連結会計の総合問題を解くための体力を養って下さい。
2:理論
記述式の理論問題の出題は、会計基準の結論の背景を根拠としていることが多いようです。ただし、結論の背景では「これこれの経緯があり、この会計処理を採用しました」というような説明になっているので、本試験の問題の答案としてそのまま記述できるとは限りません。対立点や論旨を理解した上で、キーワードやキーフレーズを覚えて、答案を組み立てられるように準備できれば理想的です。
Ⅱ. 教材の紹介
1:会計学(財務会計論)ⅠⅡ (講義時間: 67.5時間)
個別論点を対象とした教材です。理論対策としては、分野毎に必要な会計基準の解説、会計基準の結論の背景から抜粋した会計処理の論拠・対立する見解の解説、理論の記述例の紹介を行っています。暗記が得意な方は、記述例やそれこそ会計基準の文言を丸暗記して、本試験問題に合わせて編集して答案作成する方針もあり得ると思いますが、覚えることは最小限に留めたい方が多数派でしょうから、対立する見解や選択適用される処理の論拠等は、対比して覚えやすいように併記し、かつ、できるだけポイントを絞って箇条書きにしています。重要な理論については記述例も合わせて紹介していますので、覚えたキーワードを組み立てて文章化するとこうなる、というところも確認してください。重要性に応じて*~***を付してありますので参考にしてください。
計算対策としては、基本的会計処理を仕訳一覧と設例で紹介しています。仕訳毎に説明を付していますので、短答式試験対策として学習してきた内容を再確認してください。応用的な会計処理については、会計基準と適用指針の解説や仕訳例として紹介していることが多く、具体的な数値を用いた解説は計算問題集で行っています。
2:計算問題集Vol.1①② (解説時間: 21時間)
個別論点に対応した計算問題集です。動画解説付きの計算問題集で、基本的処理から応用的問題まで計算練習を積むことができます。会計基準や適用指針の解説として紹介した応用的処理も、計算問題を解いた上で動画解説で確認できます。そうしたことからも、単なる問題集というよりもテキストの延長として捉えてください。解答欄に付された重要性のA~Cは、以下のように優先順位の目安としてください。
- 論文式試験受験者なら必ず正答できる難易度の問題。
- 論文式試験の第3問で個別論点として出題された場合には必ず正答したい問題
- 論文式試験の第3問で個別論点として出題された場合には半分は正答したい問題として、論文式試験までにはできれば解けるようになっておきたい難易度の問題
3. 財務理論問題のメール配信
およそ週1回のペースで理論問題の「問題・答案・解説」のセット