この章は、伝統的論点を中心に紹介しています。過去の論文式試験をざっと振り返ってみたところ、2020年-減価償却の自己金融機能、2019年-国庫補助金、2018年-伝統的実現の2要件、2014年-負債の評価、2013年-財務報告の目的、といった出題がありました。やはり、出題の重点は「概念フレームワーク」や「収益認識基準」にシフトしているようですが、2020年の出題のように他の分野と横断的に出題されることや、この章の知識を前提とする論点の出題も考えられるので、理解しておくことは必要です。
テーマ1 財務会計の基礎知識については、「概念フレームワーク」と重複する内容も多いので、この章では軽く確認するに留めて、「概念フレームワーク」の表現で覚えていってください。
テーマ2 会計理論、テーマ3 会計基準については、短答式試験対策として身につけた知識の再確認といった位置づけで十分かと思います。
テーマ4 一般原則は、会計士試験での重要性は極めて低いので、軽く確認するだけで十分です。
テーマ5 損益会計のうち、収益関連の論点は「収益認識基準」の公表によって重要性が低くなりましたが、費用側は2020年に減価償却の論点が出題されたように出題可能性は依然としてあると思います。用語や概念を覚えるというより考え方を理解するように心がけてください。
テーマ6 資産会計、テーマ7 繰延資産についても、真正面から問われる可能性は低いですが、例えば投資の性質・投資の目的(金融投資・事業投資)が異なれば、投資対象資産の評価も異なるという論点は、「金融商品に関する会計基準」でも有価証券の評価において検討されている内容であるように、ここでの理解を基礎とする論点は多いです。テーマ5と同様に、考え方を理解するように心がけてください。
テーマ8 負債会計、特に引当金の計上の根拠や負債性の有無の論点が典型論点となっています。ここは押さえておきましょう。
テーマ9 純資産会計は、伝統的論点ばかりですが、2020年の論文式試験の減価償却の問題は、実は資本維持が裏テーマになっていました。ここも、考え方を理解するようにしましょう。