短答式試験では、計算と理論が8問ずつ出題されますが、配点は計算60点、理論40点です。
理論は、講義を丁寧に受講して、原価計算基準の穴埋め問題集を繰り返しておけば、8問中6~8問正答できるので、心配する必要はありません。計算は、全問正答できるレベルが出題される場合もありますが、基本的には8問中2問は完全に捨てて、残りの6問を丁寧に解く方針が賢明です。

Ⅰ. 学習方法

  1:計算

本試験では、最初から計算問題を2問捨てるつもりでいた方が、よい結果が得られると思いますが、どの問題を捨てるかは、その場で判断すべきことで、学習自体は満点狙いでいきます。
論文式も同様ですが、管理会計論の計算問題が解けるかは、問題を一見して、「解く方針」が立てられるかどうかです。「解く方針」が正しく立てられれば、あとは電卓が勝手に計算してくれるはずです。

そうなるために、FINの管理会計論のテキストには次のような特徴を持たせています。
① 短答式で想定される、あらゆる出題パターンを紹介すること
あらゆる出題パターンを取り扱うのは、受講生の負担になりがちですが、フルカラー化された図を多用し、場合によっては、論点だけを取り出してパターン別に分析するので、心地よく理解が広がっていくはずです。一部の計算パターンだけでは、「どうしてそのような計算方法を選択したのか」が十分に理解できないため、計算条件の変化に対応できなくなります。管理会計論の計算には、本来、計算条件として明文化すべきことが 「暗黙の前提」とされていて、全体像をつかんでいないと、作問者が要求する計算結果に辿り着けない場合があります。そういった不安な部分を取り除き、安心して本試験に臨んでいただくためにも、あらゆる計算パターンを学習しておく必要があると考えています。

② 「解いておくべき良質な過去問」を紹介すること
講義では、「解いておくべき良質な過去問」を数多く紹介し、一つ一つ丁寧に解説していきます。これほど多くの過去問を講義中に解説する専門学校は他にないと思います。これは、過去問を研究することで、各分野ごとの出題頻度や難易度も把握できますし、 「この論点でこの分量の問題であれば、何分で解答できるか」も分かるようになります。本試験は時間との戦いでもあるので、こういったことが把握できるようになれば、本番に強くなります。

To Do
まずは、講義に集中し、問題の解き方も含めてしっかりとイン・プットを済ませて下さい。
次に、テキストに入っている問題を自分で解いて下さい。最初は時間を気にせず、丁寧に。
2回目からは、徐々にスピードを上げて下さい。
さらに、個別問題集にまで手を広げて下さい。
最後に、答練5回分の問題で仕上げて下さい。

これだけで、管理会計論の講師に負けないくらいの力量を身につけることが出来るはずです。

  2:理論

理論については、 2015年12月から大幅に試験範囲が狭くなったため、 随分と楽になりました。

(1) 原価計算基準
試験範囲が狭くなった影響で、原価計算基準からの出題が増え、おおよそ8問出題される理論問題のうち、3~4問が原価計算基準からの出題となっています。1~47で構成される「基準」のうち、まず、短答式本試験で頻出されている「基準」1~8を管理会計論Ⅰの第1章で詳しく解説します。また、「基準」9~47についても、テキストの第2章以降で計算の解説とともに全文を紹介します。例えば、部門別計算の章では、「基準」15~18を掲載し、その下で代表的な過去問の解説を行います。
テキスト、「基準」、過去問を1冊にまとめたALL in ONEの教材で気持ちよく学習していただくことが出来ます。さらに、スキマ時間を利用して 「基準」を学習していただけるように、スマホ用に最適化された過去問345問のPDFデータをご提供し、完答を目指していただきます。

(2) 戦略的コストマネジメント
BSCやスループット会計などが試験範囲から除外されたため、原価低減やマネジメント・コントロールといった分野に限定されることになりました。
ただ、試験範囲外のはずのBSCなどからも現実には出題があるので、試験範囲外であることを示した上で、解説講義は行っています。
主に出題されるのは、原価低減の内容や具体的手法、原価維持との相違などについてですが、図を用いて分かりやすく説明しています。戦略的コストマネジメントは、本テキストで学習した後で、他校の教材を利用して、さらに 200時間学習したとしても得点の伸びは期待できません。コンパクトにまとめられた本テキストの戦略的コストマネジメントの講義を受講し、スマホ用問題集で過去問87問の確認をするのが最も効率的な学習方法となります。

(3) 事業部制組織の管理、財務情報分析、資金管理、ABCなど
残りの分野については、理論だけを取り出して学習しようとすると、退屈な講義になってしまうため、計算と同時並行して学習していきます。通常の講義を受講していく中で、自然と理論も身についていきます。もちろん、重要な過去問の検討も講義中に抜かりなく行います。
この辺りの理論問題は、講義を受講するという、受け身の学習で合格レベルに達しますが、自己学習だけでは中々上手くいきません。自分で問題に目を通すだけでは、本試験で生かせる知識を残すことは難しいものです。しかし、講義中の解説に耳を傾けることで、新しい発見が生まれ、その刺激が暗記するしかなかった文字の羅列を知識へと変化させてくれます。知識として自分の中に迎えられたものは、応用力を伴います。そのことをスマホ用過去問集327問で確認することで、知識をより強固なものとし、論文式試験へとつなげていって下さい。

Ⅱ. 教材の紹介

  1:管理会計論Ⅰ  (講義時間: 30.5時間) 

総論、費目別計算から直接原価計算までを学習します。短答式の過去問を数多く掲載し、計算パターンを解き明かします。 管理会計論Ⅰの範囲で高得点できるかが合否の鍵を握っているので、講義時間も長めになっています。

第1章では、「原価計算基準」の中でも出題頻度の高い1~8を取り扱います。「原価計算基準」からの出題は高い精度で合わしたいので、他の基準は、第2章以降の計算範囲に合わせながら、網羅的、かつ詳細に取り扱います。ここは、FINの教材でしか得られない様々なうんちくを交えながら学習します。また、スマホで活用できる「原価計算基準 穴埋め問題」のPDFファイルもご提供しています。原価計算基準はこの穴埋め問題集が最も効率的な学習ツールになります。

第2章の費目別計算の出題頻度は低いですが、出題された場合に難問であることも多く、得点できれば、アドバンテージが得られることから、基準11の計算を中心に、辞書的な役割をも果たすようなテキストになっています。

第3章~第7章までは、実際原価計算を前提とした部門別計算・製品別計算を学習します。
この分野は、必ず2~4問は出題されます。ここで、どれだけ得点できるかが合否を大きく左右します。特に、製品別計算は計算慣行の影響を受けやすい分野ですが、本テキストで学習することで、作問者が要求する解答に辿り着くためのルートが見えるようになります。

第8章の標準原価計算は、 SCカードを利用した勘定記入、差異分析、差異の会計処理の3分野からよく出題されています。この3分野をさらに出題パターン別に整理して、解法や難易度を詳しく解説します。深みにはまりやすい標準原価計算も、スッキリと理解できるはずです。

第9章のCVP分析は、損益分岐点~目標資本利益率達成点売上高までの4つの計算公式、それら公式を利用した多品種の場合の解法、全部実際と全部標準を前提にしたCVP分析などを紹介します。短答対策としては、十分すぎる準備をします。

最後に、直接原価計算を学習します。直接原価計算には、固定費調整という特徴的な論点があり、受験生の多くが、作問者の掘った 「落とし穴」にまんまとハマって帰ってきた過去問が何問かあります。そういった問題を専門学校の答練等で解かされた受験生は、固定費調整に苦手意識を持ち、本試験で固定費調整の問題が出題されても手を付けないようになります。固定費調整の問題は、短時間で正解できるものも多いため、本テキストでは、その問題に 「落とし穴」が用意されているかの見分け方と、「落とし穴」の種類別対処法まで分かりやすく解説します。短答式管理会計論Ⅰの画像02

管理会計論Ⅰ

  2:管理会計論Ⅱ (講義時間: 20時間)

財務情報分析から事業部制組織の管理までを学習します。

第1章は、財務情報分析です。財務情報分析からは、安全性分析や収益性分析が出題されますが、出題頻度は、以前よりも低下しています。試験委員の著書を読んでいないと解けないような出題もありましたが、短時間で解けた過去問が多く、得点したい分野ではあります。
計算だけでなく、理論も問われるため、指標の暗記に走るのではなく、指標の意味や分解分析の意図も理解しておく必要があります。 そこで、回転率や回転期間についても、簡単な設例を使って、その意味するところを分かりやすく解説しています。この辺りの理解が深まれば、財務レバレッジに関する出題にも容易に対応できるようになります。
また、最近、論文式でもよく出題されるようになった資金管理も本章で取り扱います。時間内に解けないような過去問も出題されており、苦手にする受験生も多い分野ですが、出題パターンは限定的なので、過去問解説の充実している本テキストで学習することで、十分に対応できるようになります。

第2章の戦略的コストマネジメントは、ほぼ理論問題での出題になります。重要概念について、学者ごとの定義づけまで追いかけ始めると、学習量が膨大になってしまうため、重要な論点は詳細に解説しますが、そうでない論点はコンパクトにまとめています。コンパクトですが、高い確率で正解に辿り着けるテキストとなっています。

第3章の利益管理は、営業利益の予実分析、前期と当期の比較分析が頻出分野です。苦手にする受験生が多い分野ですが、過去問は、分析図にあてはめるだけで正解できる問題しか出題されていません。分析図の書き方を暗記すれば、定型的に解答できるようになりますが、中々覚えにくい図です。そこで、分析図の構造や特徴を丁寧に解説し、暗記を補助します。分析図を暗記しておけば、出題された場合に、おいしい得点源になるはずです。

第4章と第5章の意思決定は、苦手にする受講生が多い分野なので、得点できれば、アドバンテージが得られます。また、論文式試験でもよく出題される分野のため、不確実性下の意思決定やリース、企業価値の計算も含め、想定されるあらゆる計算パターンを一つ一つ解説していきます。この辺りは、図を多用したフルカラーテキストが真骨頂を発揮する分野でもあります。

最後は、事業部制組織の管理です。計算・理論共に、内部振替価格の決定と事業部(長)の業績評価が中心的論点となります。奥の深い分野ですが、短答対策として十分なレベルまで学習します。

管理会計論Ⅱ管理会計論Ⅱ