この章では、長期請負契約の建設業会計特有の勘定科目を用いた会計処理について紹介しています。収益認識基準である工事進行基準と原価回収基準については、第2章の収益認識でも紹介していますが、まずはこの第17章から学習される方が分かりやすいと思います。
「収益認識基準」が公表されるまでは、工事進行基準と工事完成基準の選択適用でしたが、工事期間がごく短い工事契約や受注制作のソフトウェアを除き、工事完成基準は採用できなくなりました。
工事進行基準では工事進捗度に応じて収益認識することになります。会計基準上、限定されているわけではありませんが、受験上は原価基準によって工事進捗度を求めます。
将来に工事損失が見込まれる場合には、工事損失引当金によって損失の見越計上を行います。工事損失引当金は将来に戻し入れられて実際に生じた工事損失と相殺されることになるので、見積と実績が一致するときは将来の損益は0になります。