資産除去債務は、有形固定資産の除去時に必要となる原状回復のための支出等を、前倒しで負債として計上するものです。将来の支出を前倒しで負債計上することになるため、貨幣の時間価値の観点から割引計算が必要となります。補足で説明しているように、貨幣の時間価値は時の経過による貨幣価値の変動を利息の存在を理由として説明しようとする考え方で、リース取引や社債の評価、貸倒引当金の設定でも同様の手法が採用されています。資産除去債務の割引計算は、その中でも比較的簡単なのでここでマスターしてしまいましょう。
全体像としては、①将来の支出を割引価値にして負債計上する→②時の経過に伴い利息分を負債に加算していく→③割引前の支出額に調整された負債を資産の除去時に取り崩す、という手続きになっています。
資産除去債務では、割引計算で用いる利率の選択が一つの論点になっています。特に、将来の支出見積りの変更があった場合に選択するべき利率(全体像2.②)についてしっかり確認してください。