有価証券は、期末の保有目的別評価とその変更(テーマ1と2)が最も重要です。保有目的とは投資目的でもあるので、第1章テーマ6 資産会計の投資の性質も合わせて確認してください。単純に「売買目的→時価評価」というように覚えるのではなく、その評価の理論的根拠も合わせて確認していくことで理論問題対策にも計算問題対策にもなります。また保有目的別評価は、外貨建有価証券の円換算を伴う期末評価にも関係してきます。ここでも理論的根拠が頭に入っているのといないのとでは処理の選択の迷いのなさに違いが出ます。
満期保有目的の債券とその他有価証券の債券は償却原価法の適用があるので、第11章 テーマ3の社債の償却原価法と同様に有価証券の償却原価を算定していきます。負債と資産の違いから貸借が逆になりますが、金額の算定方法は基本的に同じです。ただし、社債は発行から満期までで算定しますが、有価証券は取得(発行と同時とは限らない)から満期までで算定します。
その他有価証券は時価評価差額の処理に当り、税効果会計が適用されます。ここに関しては第19章の税効果会計を学習した後に戻って確認してください。
有価証券の保有目的の変更は、その他有価証券以外からの保有目的の変更は、変更前の期末評価によると考えることができます。その他有価証券からの変更は、特に部分純資産直入法採用時に前期末に評価損を計上したか否かで非対称的な処理となる点に注意が必要です。
取得時・売却時の端数処理や手数料の処理、約定日基準と修正引渡日基準のような細かい点も、曖昧な点は早期に解消しておきましょう。
テーマ3 複合金融商品は、新株予約権付社債について発行者側と取得者側の会計処理をまとめていますから、これを機に整理しておいてください。