70回の簿記論(総合問題)では、「収益認識基準」を適用しない旨の指示がありましたし、「収益認識基準」を意識した出題も今のところは見受けられないので、この章についてはのんびり構えていても大丈夫な気がします。理論対策なら、むしろ第2章の概念フレームワークの方に力を入れるべきでしょう。
それでも「収益認識基準」に取り組むなら、まずは、この会計基準の一般化・抽象化され(すぎ)た表現に慣れることが肝要です。例えば、長期請負工事や受注生産での工事進行基準は「収益認識基準」でも採用されていますが、「工事契約基準(廃止)」とは表現が異なっています。予め会計基準でどのような表現で説明されているかを確認しておく必要があります。(工事契約自体は第10章で紹介しているため、先に第10章を学習されることをおすすめします。)
また、これまでは引当金の問題とされてきた販売後の返品や割り戻しが、変動対価として収益額の問題とされるなど、「収益認識基準」の適用により採用できなくなった処理にも注意する必要があります。
「収益認識基準」からの出題がどのようなものになるかはまだまだ手探りな部分が大きいですが、まずは小問で出題されたときに対応できるように、適用指針の設例を中心に計算対策するが吉と考えます。